塩素系溶剤を取り巻く環境と課題   −クロロカーボン衛生協会の取り組み−

                                          2015710

クロロカーボン衛生協会

事務局長兼技術部長 守田 章治

URLhttp://www.jahcs.org/

  はじめに

  クロロカーボン衛生協会は、塩素系溶剤の適正な使用を推進することにより、生活環境、作業環

境の維持改善を図り、併せて関連業界の健全なる発展に寄与することを目的に通産省(現経産省)

のご指導の下、1985年(昭和60年)10月1日に設立され、今年(2015年)10月に30周年を迎え

る業界団体です。

塩素系溶剤は、その特徴を生かして実に多くの用途分野があり、使用方法も様々ですが、安全に

適切にご使用頂くよう、国内外の安全データ収集、法規制情報の周知、そして安心してお使い頂ける

よう適正使用の指導と啓蒙等を行っています。

残念ながら、近年塩素系溶剤の法律を無視した不適切な取り扱いにより、「胆管がんの異常多発」

という悲惨な労働災害が発生した事で、化学品全体のリスク管理の在り方まで見直しされました。当

協会と深く関わるジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンをはじめ、計10種類の有

機溶剤が発がん性の疑いのある物質として、有機則から特化則へ移行する等厳しい管理を求めら

れる事になりました。

 

1.   塩素系溶剤に関する様々な情報を発信

 当協会のホームページは、クロロカーボンに関する物理的・化学的性質、有害性、関係法令・都道

府県条例及びSDSなど需要家の皆様にお役に立つデータベースとして、高い評価を頂いています。

また、塩素系溶剤を様々な視点から分かり易く解説した、「クロロカーボン衛生協会通信」や、

「使えるんです塩素系溶剤 −適正管理・適正使用−」の情報発信もしています。

 2013年から洗浄総合展(主催:日刊工業新聞社、日本産業洗浄協議会他)に出展し、塩素系溶剤

の適正使用について、積極的に情報発信をしています。

 

2. 適正使用セミナーの開催

 平成26年5月、厚生労働省愛知労働局の職員研修、同9月は、「塩素系溶剤の特化則指定に伴う

適正使用説明会」として、東京・大阪で厚生労働省から講師をお招きして法改正の説明と適正使用

についてセミナーを開催しました。

 各地方自治体を始め、業界団体等で塩素系溶剤の適正使用に関するセミナー開催について、ご要

望があればせひお問い合わせ下さい。

 

3. 環境省による公共用水域水質、大気、地下水環境モニタリングデータの収集と状況把握

 クロロカーボン衛生協会は従来より環境基本法、水質汚濁防止法或いは廃棄物の処理及び清掃

に関する法律の遵守等、適正使用の指導・啓蒙活動に努めており、塩素系溶剤の全国モニタリング

データから環境基準をはるかに下回る改善傾向が見られます。しかし、ごく一部の地下水から過去

の不適切な取り扱いにより、トリクロロエチレン、パークロロエチレンが検出されるなど、課題があり

ます。

 

4. 行政機関との連携の強化

経済産業省、厚生労働省、環境省との連携強化を図り、塩素系溶剤の特徴を生かした安全な取扱

いによる社会貢献を行い、過去の不適切な取り扱いを繰り返さないよう指導・周知する事が、業界

の発展と活動の原点だと考えています。

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