次世代クリーニング技術“レーザークリーニング”のご紹介

公共建物株式会社
事業開発部 開発課
本村 孔作

 近年あらゆる産業において環境問題が叫ばれるようになり、中でも周辺環境や作業環境への影響が大きい塗装剥離市場、洗浄産業市場においては、早急な対応を迫られております。塗装市場においては大手自動車メーカーが水性塗料への切り替えを行う等環境対策が次々と打ち出されておりますが、剥離・洗浄市場においては剥離手段の毒性や使用量の抑制に努めているとはいえ、まだ薬品使用や2次的廃棄物を生み出す状況からは脱却出来ません。

 米国では廃棄量規制がより厳格になっている状況の中、実現化された次世代クリーニング技術が“レーザークリーニング”です。開発元であるGLC社はスタンフォード大学から生まれたレーザー技術をベースにしたシリコンバレーにある企業です。同社は実用化が困難と言われていたNd:YAGレーザーによるシステム開発に成功し、製品の小型・ポータブル化、ファイバー伝送によるエネルギー効率の改善及びワーク・ヘッドの作業性の向上を実現しました。

 レーザー塗装剥離システムはパルス・レーザー光による光学的エネルギーを使用するため、1)母材にダメージを与えない、2)廃棄物(二次的廃棄物)を大幅に削減する、3)ドライで安全な作業環境を作り出す、システムであります。従来の化学溶剤剥離や水噴射方式、又ブラスト方式では解決できなかった環境問題をクリアーし、更には錆やコロージョンも容易に除去する、画期的なシステムであります。また、製品の小型が可能になった為、既存工場や生産ラインへの導入が可能、二次的剥離手段を必要としないことからコスト削減などの優位性もあります。

 米国においては、現在までに電力中央研究所(EPRI)の推薦により、電力供給会社の最大手であるSouthern CompanyやTVA(テネシー川流域開発公社)にて導入、更に米国空軍においても航空機材の塗装剥離作業にGLC社システム機器が導入されております。

 GLC社の独占販売会社である公共建物鰍ヘ昨年よりレーザー塗装剥離・除染システムの国内マーケティングを開始し、併せてデモ機A-100ユニットを輸入し、公開、デモンストレーション及びサンプル・テストを実施することとしました。お問い合わせは以下にお願い致します。

     (これは、「第18回JICC洗浄装置部会(2001.11.21)」より、講師のご好意で作成頂きました“要旨”です。)


「グリーン調達基準の統一化」について

キヤノン(株)
グローバル環境推進本部
環境技術センター
センター所長 木村 輝三

 「21世紀は環境の時代」といわれるほど、環境問題を解決して持続可能な発展する社会を構築することが国際的な課題になっております。これを解決するためにものづくり企業に求められることは、地球環境に負荷の少ない資源効率の良い「グリーン商品」(環境配慮製品)を世界中に導入することです。

 環境配慮製品の定義については多用な目的からさまざまな表現がありますが、基本は「有害物質排除」、「省資源」、「省エネ」タイプになっていることだと思います。特に「有害物質」(使用方法等により環境影響が懸念される物質)については、製品を構成する部品や原材料が有害物質などを使用していないこと、また製品の使用、用済み製品の再生、処理等における環境影響の極小化を追求するために、その部品や原材料に使用されている化学物質等の環境特性の把握が必須になります。このような目的から各社独自の調査対象の化学物質を定め、各様の方式で調査をし、その結果に基づき環境負荷の少ない部品や材料を優先的に調達することが「グリーン調達」です。

 グリーン調達の調査は、各社が各様の方式で構成材料や含有する化学物質について行われており、この調査に費やす部品や材料の供給各社の労力は莫大なものであり、従って調査期間や精度に問題が生じているのが現状であります。このような状況のもと、いくつかの企業からグリーン調達の目的は同じなので、これを共通化して効率化をはかることはできないかとの議論が起こりました。その結果、調査対象の化学物質やその調査様式などを統一し、その情報をデータベース化して共有することにより、これに費やす労力をより本質的な環境対応業務に向け、各社の環境対応をより加速させるための協議が開始されました。

こうして議論を重ねた結果、有志企業18社において「グリーン調達調査共通化協議会」が設立され、世界標準を視野に入れた「グリーン調達調査基準」(仮称)がまとまり、現在では実用可能な段階になっております。

その概要は次のとおりです。

1.共通化する事項

  1. 調査対象化学物質の枠組み
  2. 調査様式の統一化
  3. 部品・原材料情報のデータベース

2.主な共通化の基本的な考え方

  1. 対象製品:電子・電気機器製品
  2. 調査対象:製品の材料構成及び含有化学物質(必要最低限にしぼる)
  3. 共通化の内容:国際的に原則公開
  4. 基準は逐次見直しする。

3.化学物質調査

  1. リストA(30物質程度)
  2.   有害性、環境にインパクトのある物質

     (法規制対象物質等)の含有量調査

  3. リストB(30物質程度)

  部品・製品を構成している材料調査(リ

  サイクル、LCAデータの収集)

4.世界標準への働きかけ

  1. 欧米関連工業会との連携
  2. ・米国 EIA(電子工業会)

    ・欧州 EICTA(欧州情報家電機器工業会)

  3. IECガイド113への標準化の働きかけ(経済産業省、日本規格協会)

     (これは、「平成13年度第2回洗浄剤部会(2001.12.7)」より、講師のご好意で作成頂きました“要旨”です。)

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