地球環境対応型フッ素系洗浄剤
「ゼオローラH」

日本ゼオン株式会社
化学品事業部化学品販売部
大槻 記靖

 オゾン層破壊、地球温暖化が世界的に議論されている中、地球規模での環境対策がより必要になってきています。特定フロン(CFC)の代替物として使用されている代替フロン類(HCFC類)も、小さいとは言えどもオゾン層破壊係数を有することから、2020年に実質的に生産が全廃されることが決定しています。ゼオローラHは、オゾン層破壊能を持たない第三世代のフッ素系溶剤(HFC)で、優れた環境特性を有するだけでなく、他フッ素系洗浄剤に見られない様々な特性を有しています。ゼオローラHの特長を まとめると以下の点が挙げられます。

・ オゾン層破壊係数が“ゼロ”

・ 大気寿命が短く、地球温暖化に与える影響が小さい

・ 不燃性

・ 熱的安定性

・ 油に対する溶解力を有する

(軽質油・シリコーングリース等)

・ 各種溶剤との相溶性に優れる

・ フッ素ポリマーの溶解性に優れる

・ 液回収が容易

・ 沸点が高く消耗が少ない

 ゼオローラHの洗浄剤シリーズ、洗浄方式、対象汚れをまとめると下表の様になります。

洗浄方式

成分

洗浄剤シリーズ

 

ゼオローラH

ゼオローラHMK

ゼオローラHTA

ゼオローラHG

  一液洗浄

 

 

  準一液洗浄

 

  コ-ソルベント洗浄

 

 

  水切り洗浄

 

 

 

対象汚れ

コーティング溶剤

シリコーンオイル

シリーングリース

フラックス

 

希釈溶剤

軽質油

フッ素グリース

中質〜重質油

 

 

除塵

離型剤

 

 

 

炭化水素の置換

軽質油

 

 ゼオローラHシリーズによる洗浄方法で最大の特長は、一液洗浄が可能であることが挙げられます。一般にHCFC系洗浄剤に比較して、塩素を含有しない第三世代フッ素系洗浄剤は溶解力、洗浄力が劣り、脱脂洗浄には適さないと言われています。しかし「ゼオローラHシリーズ」は塩素を含まないにもかかわらず、その独特の環状構造のため、また沸点が適度に高いこと等から極めて高い溶解力を示します。打抜き油など軽質の油であれば「ゼオローラHシリーズ」で比較的溶解しやすく、沸点まで加温すると任意に相溶する油もあります。

 ゼオローラHシリーズは沸点が約82℃と高く、揮発ロスが少ない為液消耗が少なく、他のフッ素系洗浄剤に比較して使用量の低減が可能です。また、洗浄性が高いため、HCFC対応の洗浄機をそのまま又は小改造で使用することができ、経済的も優れた洗浄剤ということが出来ます。

各種工作油

HCFC-225

  ゼオローラ-HMK

  ゼオローラHTA

 

常温

常温

40℃

沸点

常温

40℃

沸点

パンチオイル

相溶

相溶

相溶

相溶

相溶

相溶

相溶

G-6050

相溶

3.0

5.1

相溶

3.5

5.4

相溶

G-6040

相溶

2.7

3.7

7.4

2.9

3.6

相溶

C-126

相溶

相溶

相溶

相溶

相溶

相溶

相溶

P-1600

相溶

4.1

6.0

11.6

4.5

5.4

相溶

ヒマシ油

相溶

0.3

0.5

3.9

0.6

1.0

6.9

オリーブ油

相溶

0.2

0.4

2.2

0.4

0.7

3.8

数値は溶剤100gに溶ける各種油のg数を示す。

(これは、「第7回洗浄技術フォーラム(平成14年9月26日開催)」より、講師のご好意で作成頂きました“要旨”です。)

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