高溶解性洗浄剤「NSクリーンRタイプ」と「EMクリーン」の洗浄事例

日鉱石油化学(株)

星野 光男、山内 辰也

 日鉱石油化学「NSクリーン」は、1993年の上市以来、塩素系洗浄剤に替わる環境適応型洗浄剤として、その高い性能が様々な産業界で評価され、代表的な炭化水素系洗浄剤としての実績を上げてきている。

 この度、当社では、動植物性加工油や、はんだフラックスの洗浄用途に「NSクリーンRタイプ」を、ワックス、ピッチ、および各種樹脂の除去用途に「EMクリーン」を開発し、製品ラインナップに加えた。

1.「NSクリーンRタイプ」

(1) 特長

 Rタイプの特長は、NSクリーンの優れた特性を活かしつつ、溶解力を高めたことにある。この度上市したものは、第2石油類相当のNS100Rである。

@塩素系洗浄剤と同等の高い洗浄力

ANS100と同等の優れた乾燥性

B狭い沸点範囲、優れた蒸留再生性

C優れた化学的・熱的安定性

D金属、樹脂に与える影響小

EPRTR法、有規則などに非該当

(2) 洗浄事例

 NS100Rは、溶解力が高く、かつ粘度が低いことにより、鉱物系加工油のみならず、動植物性加工油に対する洗浄速度にも優れる。また、化学的・熱的安定性が高いため、NS100と同様、減圧蒸気洗浄も使用可能である。

 一例として、鉱物油と植物油からなる加工油が付着した空調用アルミパイプの減圧蒸気洗浄を挙げると、洗浄後の部品の残留油分は、トリクロロエチレン洗浄品と同等の結果であった。

 また、樹脂材質への影響が少なく、ロジン溶解性に優れることから、プリント基板など電子部品のロジン系フラックスの除去にも用いられている。塩素系洗浄剤、代替フロンと同等の低い有機物残渣、イオン残渣を示した。

2.「EMクリーン」

(1) 特長

 EMクリーンは溶解力の優れた芳香族炭化水素を基材として開発した洗浄剤である。

@炭化水素系で最も高い洗浄力

A優れた化学的・熱的安定性

B金属、ガラスへのダメージなし

C高い引火点で優れた安全性

Dニーズに対応した多様な商品群

(2) 洗浄事例

 EMクリーンにはピッチ、ワックス、保護膜、接着剤などが付着した光学部品(レンズ、プリズムなど)、電子部品(超音波発振子など)の代替洗浄例がある。ここでは高溶解力、加温洗浄、蒸留再生性などの洗浄現場のニーズに沿った番手の選択がなされた。

 また、ウレタンやエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂注型機(ディスペンサー)のミキシングヘッドやノズルの洗浄にも用いられている。ここでは高い引火点を持つものが好まれ、使用樹脂に合わせた最適な溶解力のバランスを持つ番手が選択される。

3.まとめ

 当社では、NSクリーン標準タイプからRタイプ、EMクリーンに至るラインナップにより、これまで塩素系洗浄剤が使用されていた洗浄分野のほとんどをカバーできるようになった。各商品の特性にあわせて、ユーザーに最適な代替洗浄システムの提案を行っている。

 

(これは、「第7回洗浄技術フォーラム(平成14年9月26日開催)」より、講師のご好意で作成頂きました“要旨”です。)

元に戻る