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PRTRとリスクコミュニケーション 中小企業総合事業団 環境安全対応専門員 平田 淳一 1. はじめに 化学物質排出把握管理促進法(以下化管法)が平成12年3月30日に施行され、平成13年度よりPRTR制度による第1種指定化学物質の排出量等の把握と年間排出量等の届出がなされるようになりました。 初年度の届出は、昨年4月から6月末迄に提出され、現在集計中でまもなく公表される予定です。(後記:平成15年3月20日に公表されました) これらのデータは化学物質別、都道府県別、業種別などに集計される他、一般の請求により個々の事業所から届出されたデータがすべて公開されます。 これにより、個々の事業所の第一種指定化学物質の排出量等は、地域の環境団体などでも検討され、事業所とのコミニュニケーションを求められる機会が多くなると考えられます。 このセミナーでは、化管法の概要(主に届出・集計・公表等について)、中小企業総合事業団が実施した調査(中小企業におけるリスクコミュニケーションの現状と課題)の概要、リスクコミュニケーションのあり方に関する地方自治体の取組みの例などをお話しします。 2. 化管法の概要 平成15年度より、届出の要件のうち第一種指定化学物質の年間取扱量が5トンから1トン以上になりますので、届出の必要な事業所が大幅に増えることが予想されます。 (3月20日の国の報告より一部引用して、以下に記載します) (1)届出のあった事業所は全国で34,630、当該事業所からの排出量は約31万トン、移動量は約22万トンでした。 (2)国が推計を行った届出対象外の排出量は約58万トンでした。 (3)全国、全事業所の届出排出量と届出外排出量の合計(移動量は含まず)の多い物質は @ トルエン(221千トン) A キシレン(111千トン) B 塩化メチレン(84千トン) C トリクロロエチレン(59千トン) D テトラクロロエチレン(38千トン)の順となっています。 3.「中小企業におけるリスクコミュニケーションの現状と課題」の概要 (1)自主的な情報提供の実施を行っている企業は約20%で、まだ情報提供の意識は高くないと思われます。 (2)情報提供の内容は、化学物質の種類や名称、使用目的、製造量・使用量・取扱量、保管・管理方法、人体及び環境面への影響の順となっています。 (3)化学物質に関する情報提供の要求や照会、苦情、意見については、約40%があったと回答しています。要求等をしてきたのは法人顧客、地方自治体、業界団体で、近隣住民、消費者団体・環境保護団体などはまだ少ないとの回答になっています。 (4)調査結果から見た現状の課題は、地域・消費者団体への対応経験が乏しい、情報提供のための人材・具体的な手段・十分な情報が不足していることがあげられます。 (5)支援策への提言として @ 企業が入手・提供できる化学物質に関する情報の整備 A リスクコミュニケーションに関するガイドライン・マニュアルの作成・整備 B 人材育成 に関して業界団体、行政等の支援が必要と言えます。 4. リスクコミュニケーションのあり方に関する地方自治体の取組み 滋賀県、愛知県、東京都などで、平成13年頃から検討会を組織して取り組んでいます。 東京都では、ミニ環境報告書による環境情報の提供など具体的な提案をしています。 |
(これは、「第17回洗浄技術セミナー(平成15年2月21日開催)」より、講師のご好意で作成頂きました“要旨”です。)