No.59 |
(株)トプコン 生産技術部課長 高橋 嵩 氏 生産技術グループ 本宮 慎介 氏 21世紀に入ってIT産業は急成長を続けており、通信社会に欠かせない重要な製品が続々と登場している。 これの実現を可能にしている要素技術の1つに光産業がある。すなわち、特定波長を使った光学部品は製品の心臓部であり、多くは機能性薄膜などを有する特殊ガラスが用いられている。殊に、この部品製造工程に不可欠な精密洗浄は光学系性能を左右する極めて重要な技術となっている。 本講演では、具体例として、CD-ROMを駆動するピックアップ光学部品の洗浄について述べた。 1. ピックアップ光学系部品 CD-ROMの駆動するピックアップ系光学部品の構成は図1の如くであり、それぞれの部品製造の主な加工工程および洗浄の位置付けを図2に示した。 洗浄で除去する主な物質としては、有機物(指紋、研削油、オイルミスト、ピッチ、接着剤、ワックス、など)と無機物(研磨剤、など)がある。 また、洗浄法としては、湿式法(洗浄剤)と乾式法(イオンビーム、プラズマ、UV/オゾン、エキシマレーザ、など)を要求清浄度に応じて組み合わせて適用されている。 2. 洗浄によってレンズ表面に生じる"白やけ"の克服 光透過光学部品は、光の屈折率に合わせるために、ガラスにNaやBa、Pbなどの化合物成分が巧みに配合されている。特に、Na成分は部品の使用状態で、表面に付着した空気中の水分にイオンとして溶出してくる傾向があり、これが空気中の炭酸ガスなどと結合すると白っぽい炭酸塩などになって光学性能を阻害することがある。これを"白やけ"という。 また、部品表面にガラスの主成分である二酸化ケイ素の濃度が濃い層が形成されていると、白やけは青みがかって見える(これを"青やけ"という)。 これら"やけ"はガラス表面に強く固着しているので、洗浄では除去することが難づかしく、しかも部品完成直後に現れないのでやっかいである。 "白やけ"("青やけ"を含む)を生じないようにする努力が続けられているが、洗浄剤並びにリンス剤の選択、乾燥方法、完成部品の保管状態などの現状洗浄技術について具体的に紹介した。これらの技術によって満足な部品が生産されている。
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(これは、「第26回JICC洗浄技術セミナー(平成18年6月23日開催)より、事業推進委員会セミナー担当文責でまとめた講演概要です。)