No.60 |
(株)デンソー 材料技術部主任部員 柳川 敬太 氏
自動者部品の洗浄は、金属部品が主体であるといっても過言ではない。しかも、これら被洗浄物にはメカ部品が多いだけでなく、自動車の安全性や最近の環境整合性などへの取り組みも加わっているので多くの洗浄技術の蓄積が見られる。 以下の図表は、特に断りがない限り2000年に調査したデータである。 1. 自動車部品と洗浄 自動車部品における洗浄剤需要の推移を、2000年の使用量を1.0として示したのが図1である。輸出を含めた自動車生産量の増加に応じて、洗浄剤の使用量が多くなっている。 従来からの水系洗浄剤が多いが、炭化水素系洗浄剤の使用量の伸びが目立つ。すなわち、自動車部品洗浄では、この2つの洗浄剤で占められていることがわかる。 被洗浄物に要求される清浄度の様子は図2の如くである。汚れとしては、脱脂洗浄が全体の約60%、次いで異物除去が32%で、これで90%以上を占めている。 2. 洗浄工程および汚れ除去評価 洗浄設備は、専用機が87%、また自動機が99%である。 清浄度品質評価としては、他の産業洗浄分野でも駆使されている方法が実施されている。 例えば、顕微鏡観察、重量法、紫外線分光分析(UV法)、赤外線分光分析(IR法)、オメガメータ(比抵抗法)、などがある。 油分残渣の抽出には、東ソー(株)と開発した"油分抽出溶剤 HC-UV45"が有効である。 3. 今後の課題 世界の自動車部品産業で優位を維持していくためには、部品洗浄の省エネルギー化にますます技術を磨いていくことが不可欠である。既に、講演で述べたようなさまざまな努力が成されている。また、行政の主導で取り組みが始まった"VOC(揮発性有機化合物)の排出量削減"も早急に達成しなければならない。 さらには、自動車およびその部品等のリサイクルやリユースを、少なくとも米国並の達成率に早く近づける努力がされており、これに関わる一層のコストパフォーマンスを具備した産業洗浄技術の開発が期待されている。 |
(これは、「第26回JICC洗浄技術セミナー(平成18年6月23日開催)より、事業推進委員会セミナー担当文責でまとめた講演概要です。)