No.61

「半導体・FPDの洗浄原理と高性能化」

東北大学 未来科学技術共同研究センター 助教授 工学博士 森永  

  ナノ微細加工時代に突入した半導体デバイスの製造プロセスは、汚染との戦いといっても過言ではない。高精細・大画面の大量生産が続くFPD(Flat Pnanel Display))製造プロセスにおいても、半導体デバイスで要求されるような超精密洗浄技術の重要性が増すばかりである。

1. 半導体(LSI)製造プロセスにおける洗浄

  ミクロより微細なナノの世界で回路を形成する超LSI製造プロセスの成功の鍵は洗浄が担っているといっても過言ではない。

  主な汚染物としては、パーティクルがあり、髪の毛の直径より小さい0.03μm(=30nm)の残渣でも洗浄不良とされている。この他に金属や有機物などの洗浄除去が不可欠である。

洗浄では、過剰エッチング(溶解)や表面ラフネス、パターンダメージなどを生じない洗浄法が講じられている。

  典型的な洗浄法として、"RCA洗浄"(湿式法)が良く知られているが、最近ではこの方法を発展させたさまざまな技術が駆使されており、洗浄技術の高性能化が図られている。その中には、ガス溶解機能水の活用やキレート剤・界面活性剤の活用などがある。

2. FPDの洗浄原理と高性能化

  FPD、すなわち、薄型平面ディスプレーは表示パネルとしてIT製品に欠かせない存在に急成長しつつある。パネルには表示制御のための高集積度半導体部品が搭載されており、表示の高精細化だけでなく、大画面化しているので、洗浄に高度なテクニックおよびコストを加味した高生産効率が課せられている。特に、洗浄における微量汚染物の再付着防止が重要であり、基板シリコンに吸着しやすい微量金属やそのイオン類などの完全溶解除去に腐心している。

  このような洗浄では、上記の半導体で述べたようなガス溶解機能水中での超音波洗浄が有効な技術である。

  有機汚染物の除去は、有機物の分解や溶解が主体であり、オゾン水、酸素プラズマ、UVオゾン、有機溶剤、アルカリ、界面活性剤などを汚染物の性質に応じて駆使されている。

(これは、「第26回JICC洗浄技術セミナー(平成18年6月23日開催)より、事業推進委員会セミナー担当文責でまとめた講演概要です。)

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