• 旭硝子株式会社　化学品カンパニー　開発部　横浜研究所　プロフェッショナル
• 岡本　秀一　Okamoto Hidekazu

 かって産業洗浄に大量に使用されていたR-113は、オゾン層破壊という地球規模の環境問題を引き起こす特定フロンとして先進国では、1996年以降の生産が廃止された。特定フロンと同等の安全性と利便性を持つ環境対応型の代替フロン開発に対する要望にこたえるべく、フロンメーカー各社は、相互に協力と競争をしながら今日まで数多くの代替物質を提供し続けてきた。本稿では、オゾン層破壊や温暖化といったフロンがもたらす地球環境問題とメーカーの取り組みを今後の展望も含めて紹介する。

• 旭硝子株式会社　化学品カンパニー　開発部　千葉研究所　機能商品開発室 ガス溶剤グループリーダー
• 花田　毅 Hanada Tsuyoshi

 フッ素系溶剤は、上燃性・安定性・速乾性などの特徴を持ち、洗浄用途・溶媒用途を中心に幅広い分 野で使われている。しかし、フッ素系溶剤は、オゾン層破壊や地球温暖化といった環境への影響があり、 同等の性能を維持しつつ、環境への影響の小さい溶剤の開発が求められてきた。弊社は30 年以上の長 きにわたり、その時代の要望を満足するフッ素系溶剤の開発・製造を続け、過去にはオゾン層破壊とい う課題に対してASAHIKILIN（アサヒクリンⓇ）シリーズを市場に提供してきた。今回、地球温暖化と いう課題に対して新たにAMOLEA（アモレアⓇ）シリーズを立ち上げ、商品化に向けた開発を進めている。

• セントラル硝子株式会社 化学研究所 主席研究員　博士（工学）
• 高田　直門 Takada Naoto

 フッ素系溶剤は安定性に優れているが、その安定性が災いして、地球温暖化やオゾン層破壊の原因と されている。本稿では洗浄などの使用環境において安定で、大気中で速やかに分解する次世代フッ素系 溶剤CGS-4（開発コード）について紹介する。CGS-4 はフッ素系溶剤として求められる性能と環境 適応性を有しており、既存設備にドロップイン可能である。

• 旭化成ケミカルズ株式会社 機能活性剤営業部
• 上野　英一郎 Ueno Eiichiro

 弊社は、オゾン破壊係数が「ゼロ《のハイドロフルオロカーボン（HFC）を主成分とする工業用洗 浄剤「エルノバV2《を2005 年8 月より販売を開始した。エルノバV2 は、HCFC 代替洗浄剤とし て精密加工および電気電子分野のユーザーより高い評価を得てきた。 さらに、弊社は、2013 年6 月に、高洗浄力型の「エルノバV3《を上市した。「エルノバV3《の 高洗浄力は、エルノバV2 では洗浄できなかった難溶性加工油の洗浄も可能とした。 また、エルノバVR3 によるプレ洗浄とエルノバ油分離システムとを組み合わせた新たな油分離シス テムにより、洗浄剤エルノバV3 に持ち込まれる油量を抑制し、ランニングコストダウンを実現した。

• 日本ゼオン株式会社 ケミカル技術グループ　課長
• 大槻　記靖 Otsuki　Noriyasu

 ゼオローラⓇ H は日本ゼオンと産業技術総合研究所が開発した炭素、フッ素、水素からなる独自の HFC 系フッ素溶剤である。オゾン層破壊係数ゼロ、低地球温暖化係数など環境特性にも優れているだ けでなく、他のフッ素系溶剤に見られない優れた洗浄性・溶解性・経済性を有している。HCFC 系洗 浄剤、臭素系、および塩素系洗浄剤の切り替えに最適な洗浄剤である。供給体制・技術サポート体制も 整えており、顧客のさまざまな要求に対し、迅速な対応が可能である。

• スリーエム　ジャパン株式会社　電子用製品技術部
• 池ヶ谷　菜海子 Ikegaya Namiko

 3 MTM NovecTM 高機能性液体は、環境特性、安全性やその他性能のバランスのとれたフッ素系溶剤 である。本稿では、NovecTM 高機能性液体を用いた洗浄に関して紹介する。一つは微細な隙間の洗浄 および微細なパーティクルを高効率に除去する洗浄の例である。もう一つは法的な規制や安全性の面か ら、HCFC や臭素系洗浄剤に代替できる例である。