| 剤 種 | 長 所 | 短 所 | 備 考 | 
| 温水・純水 | 
不燃性で毒性がない。樹脂を膨潤・溶解しない。金属・樹脂・ガラスなど多くの素材の洗浄に適する。発泡性がなく、高圧洗浄に使用できる。液コストは低い。 | 
相対的に洗浄力は低い。鉄鋼・銅等の非鉄金属は発錆の可能性がある。純水を使用する場合純水製造装置が必要である。 | 
洗浄力を補う要素として、高圧ジェット・超音波などの物理力が重要である。発錆の可能性がある金属に対しては防錆対策が必要である。その他水系洗浄剤に準ずる。 | 
| 機能水 | 
不燃性で毒性がほとんど無い。発泡性が無い。生成コストが安価である。無機物汚れに対する洗浄性が良い。ノンリンス洗浄可。 | 
生成する為の設備投資が必要である。排水処理(中和処理等)が必要である。有機物汚れに対する洗浄性が弱い。 | 
水系洗浄剤に準じた洗浄装置を利用して洗浄を行う。必要に応じ水道水や純水によるすすぎ工程を具備する。シャワー、スプレー、超音波、液中噴流、揺動等の物理力を併用する。 | 
| 水系洗浄剤(中性、アルカリ性) | 
 引火性が無い適用範囲が広い(微粒子の除去能は、溶剤系よりも効果的)親水性の表面が得られる。溶剤系と比較して人体へ及ぼす影響が小さい。 | 
鉄鋼・銅等の非鉄金属は発錆の可能性がある。溶剤系と比較すると洗浄時間は長くなる傾向である。排水処理設備が必要(排水処理設備や産業廃棄物)乾燥に時間がかかる。溶剤系と比較して、設備が大きくなる。(複数の工程を必用とするため) | 
超音波やスプレーなどの物理的操作との併用により洗浄力が大幅に向上する。希釈濃度と洗浄液温度に影響を受け易く、最適洗浄条件を確認することが重要。すすぎ工程にイオン交換水(純水)を用いるとより良い表面精度を得られる。(しみの低減・防錆性能の向上など) | 
| 準水系洗浄剤 | 
フラックス、ワックス、グリース、レジスト等の洗浄に適する。極性の高いものから低いものまで溶解力が高く、高寿命。規定量の水を添加品したものは非引火性となる。毒性が小さい。オゾン層破壊係数がゼロ。VOCが非常に小さい洗浄剤自身は金属に対するケミカルアタックが小さく、防錆剤を併用することでリンス工程での対応も可能となる。 | 
洗浄液単価は比較的高目である。(原液使用)。洗浄液の再生は難しい。エラストマー・プラスチック部品には予め耐性テストが必要。リンスに水又は純水を使用するので、それらの循環再生装置が必要。排水処理対策が必要。 | 
用法については基本的には水系洗浄剤に準ずるが、水添加品は水分管理が重要である。(水分量低下によって引火点が生じる) | 
| 炭化水素系洗浄剤 | 
油分に対する溶解能が高く、水系に比べれば乾燥も速い部類である。浸透性が高い。蒸留可能な物が多く、液補充のみで運用できる。金属に対するアタックが非常に少ない。オゾン層破壊係数がゼロである。
比較的安価である。液分析項目が少なく、洗浄工程を管理しやすい | 
可燃性であり、取り扱う量によっては消防法の規制を受ける。装置側は防爆対応が必要である。安全確保のため、引火点を超える液温での取り扱いには十分な注意が必要である。 | 
洗浄剤としてのパフォーマンスは高い部類である。液温が引火点に達していなくても霧状になると引火する恐れがある。排水処理装置不要で、防爆対応を除けば、装置としては平均的な部類である。 | 
| アルコール系洗浄剤 | 
浸透性が高い。リンス水又は水置換剤としての能力が高い。金属に対するアタックはない。乾燥性は良い。比較的安価である。 | 
可燃性であり、取り扱う量によっては消防法の規制を受ける。装置側は防爆対応が必要である。引火点が低いので、炭化水素系溶剤よりも取り扱いには注意が必要である。油分の溶解能は低い。 | 
洗浄液としての需要は少なく、水置換剤、あるいは水洗後のリンス剤としての用途が多い。 | 
| フッ素系洗浄剤 | 
不燃性である(消防法に非該当)蒸気洗浄が可能。乾燥性が良い。浸透性が高く微細な隙間の洗浄に適している。金属部品を腐食(発錆)せず、プラスチック部品へのアタックも小さい。 | 
液単価が高い。HFC類・HFE類は脱脂洗浄力が低いHCFC-225はPRTR(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の推進に関する法律)の第1種特定化学物質法に該当 | 
装置構成は高機能な傾向であるが、液コストは高目であり、装置側の低消耗対策も重要である。 | 
| 塩素系洗浄剤(臭素系溶剤) | 
不燃性である(消防法に非該当)蒸気洗浄が可能。脱脂洗浄力が高い。オゾン層破壊係数は非常に小さい。 | 
法規制が多い ・労働安全衛生法、特定化学物質障害予防規則の対象物質・水質汚濁防止法の有害物質・廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の特別管理産業廃棄物・PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の推進に関する法律)の第1種特定化学物質・大気汚染防止法のVOC規制 等
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装置としては簡素・高機能であるが、溶剤に対する法的規制は厳しくなる傾向である。
臭素系溶剤は機能的には塩素系溶剤と同類であるが、日本産業衛生学会が許容濃度を25ppmから0.5ppmに低減すべきと提案している様に、密閉型洗浄装置との併用が望まれる。
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