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環境保護情報

環境保護情報(2000年6月)

1. 第7回化学品審議会

 地球温暖化防止対策部会

 化学品審議会は、通商産業大臣の諮問機関で あり、その中に地球温暖化防止の対象物質中のHFC、PFCおよびSF6に関する問題を取り扱う地球温暖化防止対策部会が組織されている。その第7回の会合が去る5月23日に通商産業省で開催された。部会長は、従来の早川豊彦氏(東京工業大学名誉教授)から中井武氏(東京工業大学教授)に代わり、その他に学会、業界、NGOから選ばれた3名の委員と19名の専門委員より構成されている。  今回は、1998年5月29日にとりまとめられた「化学品審議会地球温暖化防止対策部会中間報告」について2回目のフォローアップが行われた。

1.1 これまでの経緯

 同部会は、1997年12月にに採択された地球温暖化防止に関わる京都議定書に対応するために1998年年1月19日に設置され、以後、産業界における自主行動計画の策定とそのフォローアップが行われてきている。

(1) 指針の策定と行動計画策定の要請

 1998年2月10日開催の第3回同部会において、産業界による行動計画の必要性、実施状況の定期的フォローアップの必要性を提言した「化学品審議会地球温暖化防止対策部会報告(中間とりまとめ)」が策定された。  これを受けて、通商産業省は2月12日にガイドラインとして、「産業界によるHFC等の排出抑制に係る指針」を告示として官報2月23日に発表、通商産業大臣より17の関係産業団体に行動計画策定の要請を行った。

(2) 産業界の行動計画

 行動計画は、関係19産業団体より4月に提出され、第4回部会(1998年4月27日)で検討され、第5回部会(5月29日)で「化学品審議会地球温暖化防止対策部会中間報告」(以下「中間報告」)として取りまとめられた。  「中間報告」の第1回目のフォローアップは、1999年5月21日の第6回会合で行われた。

(3)「地球温暖化防止対策推進大綱」

 京都議定書の採択を踏まえ、1997年12月19日内閣に設置された地球温暖化防止対策推進本部において、「地球温暖化防止対策推進大綱」が、1998年6月19日に決定された。代替フロン等の対策については、産業界の取り組みの実効性を確保することとし、従来行動計画を策定していなかった業種を含めて、1999年6月に第1回のフォローアップがなされた。

1.2 今回のフォローアップ

 今回の第2回フォローアップは、昨年の第1回に引き続き、以下の点を業種ごとにまとめたものが検討されている。 ・1999年に行われた取組みによる数値目標  達成の進捗状況 ・中間報告における業種ごとの具体的対策の項目ごとの現状および今後の課題 ・1999年までの実態につき業界内で集計された統計等を用いた分野ごとの推計排出量

(1) HFC等の排出量の推移

 業界全体をまとめたHFC、PFC、SF6の排出量の推移は<表1>のごとく発表された。  地球温暖化係数換算量(GWPトン)による総排出量は、95年(48.5百万GWPt)から97年までは横這いで推移していたが、98年(44.4百万GWPt)、99年(38.7百万GWPt)と減少している。

<表1>HFC等の排出量の推移(百万GWPt)
  1995 1996 1997 1998 1999
HFC計 19.8 19.6 19.5 19.0 19.6
PFC計 11.4 11.6 14.0 12.6 10.1
SF6計 17.3 17.6 14.3 12.8 9.0
HFC等計 48.5 48.8 47.8 44.4 38.7

(2) 洗浄用途

 洗浄分野の排出量については、メーカーの出荷量と、ユーザー側として(社)日本電子機械工業会の提出した排出量とからまとめられたものが<表2>のごとく発表されている。

<表2>洗浄分野におけるHFC等の排出量の推移(百万GWPt)
  1995 1996 1997 1998 1999
(8)電子部品等洗浄に係る事項1) 7.0 6.7 8.2 6.7 5.1
 電子部品洗浄2) 1.5 1.5 1.4 1.1 1.5
注)増減の理由等
1)低GWP物質への代替促進等により減少
2)低GWP物質への代替、工程変更等による減少の一方で生産量増により増加

(3) 行動計画に基づく取組の進捗状況

 以下は(社)日本電子機械工業会が提出した電子部品洗浄等の業種区分で提出した報告である。 ・数値目標:2010年時点での総排出量を1995年比60%以上削減 ・現状:電子部品製造業では、一部の用途で代替 品の採用、回収率の改善があるものの、生産量 の増加に伴う洗浄用途の他、検査工程用途が増 加により95年比同レベル、半導体・液晶製造 業では、生産量は増加したものの、代替品の採 用が進み、使用量は95年と同程度に排出抑制。 ・今後の取組:PFCを使用しない洗浄システム の開発、代替物質利用への転換、測定システム の改善等 ・1999年までに実施した具体的な対策:
①使用中の漏えい防止(閉鎖系洗浄システムの開発・普及等) ・装置メーカーとの情報交換の実施(98年〜)、装置の一部導入(99年〜) ・閉鎖系装置への改善による回収率の改善    溶剤のリサイクル機能を備えた密閉型の装置を導入し、使用量を1/10に低減(99年) ・測定システムの改善(99年〜)
②PFCを使用しない洗浄システムの開発・普及  ・各社で検討開始(例:水洗浄が可能な材質への 転換等 ・磁石製造の工程をウェット方式からドライ方式に変更し、PFC使用廃止(99年) ・金属製品洗浄後の乾燥工程を炭化水素系溶剤 による真空乾燥工程に置換(99年)
③PFC代替物質利用への転換・普及啓発・化学薬品メーカーとの勉強会を実施(98年〜 ・洗浄の用途の一部において、代替溶剤を採用 ・代替等による削減検討事例の収集
④その他・部品業界各社への目標に対する自主的削減 の要請 ・関連委員会において削減検討事例の収集と検討

<参考資料> ・通商産業省基礎産業局:「第7回化学品審議会地球温暖化防止対策部会」配布資料(2000.5.23)

2.グリーン購入法が成立

 環境に優しい製品を需要面から促進する法律である「環境物品調達促進法」(グリーン購入法)が、5月24日に参院本会議で可決、成立した。 本法律案は、議員立法として今国会に提出されたもので、循環型社会を目指すために公的機関が率先して環境負荷の低減につながる物品の購入を促すことを目的としており、国の期間や特殊法人には、毎年度の調達方針による物品調達を義務づけ、地方公共団体には努力規定とし、事業者や国民に対しては一般的責務としている。全面施行は2001年4月1日からである。
 グリーン購入に関する民間の動きとしては、「グリーン購入ネットワーク」が(財)日本環境協会を事務局として1996年2月に設立され、グリーン購入基本原則および購入ガイドラインを制定するなどして、グリーン購入の普及に努めている。同組織は、グリーン購入活動に貢献した組織、企業を表彰する制度を1998年に創設し、この5月8日には「第3回グリーン購入大賞」を発表した。当協議会正会員のセイコーエプソン(株)は今回準大賞を受賞している。

<参考資料> ・環境庁:「國等による環境物品等の調達の推進 等に関する法律」(グリーン購入法)について(2000.5.25)

3.ローランド博士が「世界科学アカデミー会議」で来日

 ノーベル化学賞を受けたF・シャーウッド・ローランド博士が、このほど「世界科学アカデミー会議」に出席のために来日した。
 富永東京大学名誉教授の主催によりローランド博士を囲む懇親パーティが5月14日にホテルニューオータニで開催され、その席上で今回の訪日の目的等を語った。
 同博士は、現在全米科学アカデミーの国際部長であり、今回世界各国の科学アカデミーに所属する科学者が、今後の地球環境問題に取り組むために集まったといわれ、その討議では地球温暖化問題、人口問題、食糧問題に真剣に取り組むことは学界の使命であることを強調された。 (写真)パーティ席上のローランド博士
 その「世界科学アカデミー会議」は、世界84の科学アカデミーで組織されるインターアカデミーパネル(IAP)が主催し、日本学術会議がホスト機関を務め、5月15日〜18日の間、東京国際フォーラム(東京・千代田区)で開催された。IPAの委員であるローランド博士は共同議長を務めている。
 今回の会議のテーマは「持続的発展への移行」であり、地球環境問題として人口、健康、食糧、水、エネルギーという基本的な課題についての討議が行われた。最終日に採択された「世界の科学アカデミーによる宣言」は“持続的な人類の未来に向けて、より幅広く効果的に既存の知識と有益な技術を生み出す。持続可能性への世界的な移行を進めるために科学アカデミーが政府・国際機関・民間企業と協力する”ことを誓っている。 (写真)最終日の記者会見(左より、 吉川弘之博士(日本学術会議会長)、 タンドン博士(インド国家科学アカデミー元会長)、 ローランド博士(全米科学アカデミー国際部長)
 同博士が昨年5月の来日の際は、日刊工業新聞社の協力で、産官学の代表者によるオゾン層保護問題に関する座談会が企画され、当協議会木下元会長も出席した。その席上で同博士は、「オゾン層問題では、地球規模の環境問題に世界各国が一つになって前進できることを示した。皆が一つの方向に力を合わせていくことが今後ますます必要性になる」と語った。、同博士が従来抱いていた地球環境問題への取り組みの姿勢は、世界の学界の今後の方向を示す今回の「世界の科学アカデミーによる宣言」に反映されている。

<参考資料>
(1)「世界の科学的アカデミーによる宣言:21世紀における持続可能性への移行、科学技術の貢献」(2000.5)
(2)「インターアカデミーパネル:記者会見用会 議概要」(2000.5.18)
(3)世界アカデミー会議のホームページ http://www.scj.go.jp/20000529cwsa.html

4.レスター・ブラウン氏の訪日

 ワールドウォッチ研究所理事長のレスター・ブラウン氏は、このほど訪日し、財団法人地球環境財団主催のフォーラムで講演を行った。
 同氏は、ロックフェラー財団の支援を受け、地球環境問題の分析を専門とする民間研究組織としてワールドウォッチ研究所(WWI)を1974年に設立した。1984年に「State of the World](邦訳「地球白書」)を刊行、以後現在まで地球環境問題の年鑑として毎年発行されている(2000年版は本月報の先月号で紹介)。
 同氏の講演したフォーラムは、財団法人地球環境財団主催「環境フォーラム2000:環境革命と21世紀型企業の環境戦略」(事務局は㈱環境クリエート/国際環境フォーラム事務局が担当)で、5月26日に立正大学石橋湛山記念講堂で行われた。プログラムは、ブラウン氏の基調講演に続き、“21世紀型企業の環境戦略”と題する枡本晃章氏(東京電力㈱常務取締役)と渡辺亘之氏(ソニー㈱常務取締役)の講演があった。
 同氏は、地球温暖化対策のためエネルギー経済の変革が迫られていることを強調し、そのための問題解決としていくつかの提言をおこなった。化石燃料からの転換は不可欠であり、風力発電、太陽電池が新エネルギーの礎石であるとし、そのために税制再編の必要性を強調した。
 ブラウン氏も制作に参加した、テレビ番組「地球白書(国際共同製作)」は6回シリーズで、NHK衛星第1から5月28日より放映が開始されている。第1回の番組では、廃棄物ゼロを目指す日本、米国の企業活動、投資によって企業活動の転換を促すエコ・ファンドの動向などが取りあげられている。

5.京都議定書の動向

 京都議定書の具体的な検討について、通商産業省が作成した資料によると、以下の通りである。

5.1 COP3と京都メカニズム

 97年12月、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において、「京都議定書」が採択された。議定書には、「京都メカニズム」と呼ばれる共同実施、クリーン開発メカニズム(CDM)、排出量取引の3つの柔軟性措置が含まれている。議定書で決定されたのはこれらの措置のあくまでも大枠であり、詳細についてはその後の交渉にゆだねられた。

5.2 COP4

 COP4(98年11月,於ブエノスアイレス)においては、京都メカニズムについて、交渉全般における先進国と途上国との対立が激しく、具体的な内容の議論は一切なされず、当面の作業計画を設定するにとどまった。すなわち、「CDMに重点をおいて行うことを念頭に」おいた作業計画(ブエノスアイレス行動計画)を決定。

5.3 COP5

 COP5(99年10月25日〜11月5日、於ボン)においては、次のような進展があった。

(1)発効期限

 2002年までの京都議定書の発効の重要性が多くの国の共通認識となった。我が国は、02年までの発効の重要性およびそのための条件整備の必要性を主張。EUは、02年までに批准を行う準備があるとしたが、米、加は、可能な限りの早期の発効を支持するとの発言に留まった。

(2)COP6の開催

 COP6を2000年11月にオランダ・ハーグで開催することを決定。また、COP6における主要論点の合意を目標とする「ブエノスアイレス行動計画」の着実な実施について再確認し、COP6に向けた取組を強化することで一致した。

(3)京都メカニズム

 議長がとりまとめた「各国提案統合ペーパー」に関して各国の意見交換が行われ、COP6までの間の専門会合で「交渉用テキスト」を作成することに合意。

(4)途上国の参加問題

 途上国の自主的参加問題全般については今後に持ち越された。

(5)HFC、PFCの検討

 HFCおよびPFCについては、モントリオール議定書専門機関(TEAP)が行ったHFC、PFCの使用実態、排出抑制措置等に関する報告が示され、今後、気候変動枠組条約専門機関において、更に技術情報面の検討を行うこととされた。

5.4 今後の予定

 COP6は2000年11月にハーグで開催予定。この準備会合を6月(於ボン)、9月(於リヨン)で実施予定。

環境保護情報(2000年5月)

1.化学物質管理促進法の施行期日が決まり、「化学物質管理指針」が発表された

 化学物質管理促進法の具体的な実施については、1999年11月19日から広く国民から意見を聴取するという意見募集(パブリックコメント)が行われ、その意見を踏まえて決定された。最終的に同法の施行令は、2000年3月29日に公布され、同時に同法の施行期日は平成12年3月30日と確定した。  同施行令の内容は、「本月報第5巻第2号」に紹介した通りであるが、今回、通産省がその概要と今後の予定を発表したので以下に紹介する。

1.1「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令」について  同施行令は<表>の通り。

1.2 今後の予定

 平成13年1月 安全性データシート公布の開始  平成13年4月 排出量等の把握の開始  平成13年1月 排出量等の届出の開始

1.3 「化学物質管理指針」

 同法に係る「化学物質管理指針」が告示として3月30日に発表された。これは、同法第3条で、指定化学物質を取り扱う事業者が講ずべき指定化学物質等の管理に係る措置に関する指針を定めることを規定していることに基づいている。この告示発表にあたっては、通商産業省と環境庁がその案を公表し、広く国民の意見を募集したが、その結果22の意見提出者から66件の意見が提出されたとのことである。 同指針は、正式には「特定化学物質等取扱事業者が講ずべき第1種指定化学物質等及び第2種指定化学物質の管理に係る措置に関する指針」といい、主に次のような事項を定めている。

(1) 指定化学物質等の製造、使用その他の取扱いに係る設備の改善その他の指定化学物質等の管理の方法に関する事項

①化学物質の管理の体系化

 化学物質の管理の方向を定め、当該方針に即し、具体的な目標及び方策を定めた管理計画を策定するとともに、その確実な実施のための体制を整備すること。

②情報の収集、整理等

 指定化学物質等の取扱量等を把握するとともに、指定化学物質等やその管理の改善のための技術に関する情報を収集・利用し、必要な管理対策を実施すること。

③管理対策の実施

 設備点検等の実施、廃棄物の管理、設備の改善及び主たる工程に応じた対策の実施により、指定化学物質の環境庁への排出の抑制に努めること。

(2) 指定化学物質等の製造の過程における回収、再利用その他の指定化学物質等の使用の合理化に関する事項

①化学物質の管理の体系化、情報の収集、整理等

 指定化学物質を可能な限り有効に用いるため、回収率の向上、再利用の徹底等を図るとともに、使用量の管理の徹底をはかること等により、指定化学物質の使用の合理化を図ること。

②化学物質の使用の合理化対策

 把握又は収集した情報に基づいて、取り扱う指定化学物質等について、その有害性、物理的科学的性状、排出量並びに排出ガス及び排出水中の濃度等を勘案しつつ、工程全体の見直しや主たる工程に応じた対策の実施により使用の合理化対策の実施に取り組むこと。

(3) 指定化学物質等の管理の方法及び使用の合理化並びに第1種指定化学物質等の排出の状況に関する国民の理解の増進に関する事項

 指定化学物質等の管理活動に対する国民の理解を深めるため、事業活動の内容、指定化学物質等の管理の状況等に関する情報の提供等に努めるとともに、そのための体制の整備、人材の育成等を行うこと。

(4) 指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の活用に関する事項

 指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報(MSDS)を活用し、指定化学物質の排出状況の把握その他(1)から(3)の事項の適切な実施を図るとともに、データベースの構築、関係者への周知徹底等の体制整備を図ること。

<参考資料>

1) (政令137)「特定化学物質の環境への排出 量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律の施行期日を定める政令」、(政令138)「特定化学物質の環境への排出量の把 握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令」、官報、号外60号(2000.3.29) 2) (環境庁・通商産業省告示第1号)「指定化学 物質等取扱事業者が講ずべき第1種指定化学物質等及び第2種指定化学物質等の管理に係る措置に関する指針」  官報、号外第61号(2000.3.30) 3)環境庁環境保健部環境安全課:「化学物質管理指針の案に対する意見募集結果について」  (2000.3.29)

2.東京都公害防止条例の改正が検討されている

 東京都は、公害防止条例の改正を検討中だが、東京都環境審議会(会長:横山榮二、国立公衆衛生院顧問)が答申書「東京都公害防止条例の改正について」を、3月31日付けで発表した。  この答申の中で、PRTRについても、国の化学物質管理促進法よりも強化した条例の必要性を提案している。以下に「化学物質の適正な管理と排出抑制」に関係する部分を紹介する。

(1) 制度の必要性と背景

東京都においては、化学物質を取り扱う事業所の多くは中小企業者であり、事業所と住宅が混在した過密な都市構造であることから、施策の実施にあたっては東京の地域特性を配慮したものとすることが必要であり、化学物質管理促進法の規定よりもPRTRの対象事業者を拡大すべきである。

(2) 届出事項の追加

 化学物質の排出状況を的確に把握するため、化学物質管理促進法に規定されている排出量、移動量に加え、取扱量を追加することが必要である。 また、知事は届出事項に係る情報等を事業者自ら公表することや化学物質の排出抑制等についての必要な報告を求めることができるものとする。

(3) 安全管理方法書の作成、提出

排出量等の届出の対象となる事業者のうち、大規模なものについては指定化学物質以外の化学物質の適正な管理方法、事故時の対応等を含めた組織体制の整備等について記載した「安全管理方法書(仮称)」の作成および提出を義務づける(図1参照)。

<参考資料>

・東京都環境局「東京都環境審議会答申:東京都 公害防止条例の改正について」(2000.3.31)

3.「地球白書」における化学物質問題の指摘

 レスター・ブラウン氏監修の「State of the World(日本語訳:地球白書)」は、1983年にその第1冊目が発行されて、過去1年間の地球環境に関する総括を行ったが、本年3月に、その18冊目の2000年版が発行された。今年の同書の特徴は、“第5章 残留性有機汚染物質の段階的廃止”と題して全10章のうちの一つを化学物質の環境問題に費やしていることであろう。  過去には、1987年版で“第9章 化学サイクルの安定化”という指摘があり、地球温暖化、酸性雨、限られた化学物質による土壌汚染などを取り上げた例があったが、今回は化学物質の環境問題を総合的に取り上げた点が印象である。  その最新版では、残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants, POPs)を話題の中心に据えているが、トピクスとしては、ダイオキシン類、内分泌撹乱物質、環境汚染物質排出・移動登録、リスク・コミュニケーションを取り上げている。また、国際的な取り組みについては、最近の国際条約の動きとして、「長距離越境大気汚染条約のPOPsに関するアールヒュス議定書(1998年6月)」、「国際取引における特定有害化学物質と農薬のための事前通知同意制度に関するロッテルダム条約(1998年9月)」、「有害廃棄物とその廃棄の国境を越えた移動を規制するバーゼル条約(1989年)の1995年改正」を紹介している。このような国際的な動向により、工業用途で化学物質を使用する現場は、今後さらに厳しい管理を求められることを示唆している。

<参考資料>

1) Lester R. Brown etc.: 「State of the World 2000」(The Worldwatch Institute,2000)[(日本語訳)浜中裕徳監訳:「地球白書 2000-01」(ダイヤモンド社、2000.3)]

<表>化学物質管理促進法の概要

項 目 内 容 条文
対象物質 第一種指定化学物質 ・環境への排出量等の届出(PRTR) および事業者間の安全性データシート(MSDS)の交付の対象
・ヒトや生態系への有害性(オゾン層破 壊性を含む)があり、環境中に広く存 在する(暴露性がある)と認められる物質
・354物質
第1条
第二種指定化学物質 ・安全性データシート(MSDS)の交 付のみの対象
・第一種指定化学物質と同様の有害性が あるが、暴露性はそれより低いと見込まれる物質
・81物質
第2条
PRTR対象事業者 特定の考え方 ・一種指定化学物質を製造、使用その他 業として取り扱う等により、事業活動に伴い当該物質を環境に排出すると見込まれる事業者のうち、業種を特定し、その上で、取扱量等の要件で裾切りを行う。
対象業種 ・全ての製造業(化学工業、電気機械器 具製造業、鉄鋼業等)
・その他(金属鉱業、電気業・ガス業、下水道業、洗濯業、自動車整備業、廃棄物処分業、高等教育機関(大学等)等)
第3条
年間取扱量 ・1トン以上(発がん物質は0.5トン以上)
・ただし、経過措置として、2年間は5 トン以上(発がん物質は0.5トン以上のまま)
第4条
常用雇用者数 ・21人以上 第4条
対象製品 ・いずれかの指定化学物質を1%以上含 むもの(第1種化学物質のうち発がん物質は0.1%以上)
・環境中に指定化学物質を排出するおそ れのないもの等は除く
第5条
第6条


環境保護情報(2000年4月)

1.北極域におけるオゾン層減少の原因解明に手がかり

 気象庁オゾン層情報センターより、北極域におけるオゾン層減少に関する情報を入手した。以下はその概要である。

情報源:科学技術庁と気象庁の気象研究が連名で去る3月7日に発表した科学技術庁振興調整費成果報道発表

内容:現在、科学技術庁振興調整費「成層圏の変動とその気候に及ぼす影響に関する国際共同研究」の一環として、カナダ北極圏ユーレカ観測所(北緯80度、西経86度)において、気象庁気象研究所が福岡大学や通信総合研究所等と協力し、極域成層圏に特有なPSC(極成層圏雲)に関し大気微量成分の観測等を実施している。PSCの表面では塩化水素と硝酸塩素の反応が進行して活性塩素が多量に供給され、太陽光のもとでオゾンを急速に破壊することが知られており、昨年12月からの観測の結果、PSCを確認し以下の事実を明らかにした。(なお、本研究計画で採用した観測手法は、ライダー、フーリエ変換型赤外分光装置)

(1)2000年1月初旬に、1993年以来、最も多量のPSC粒子が観測された。

(2)結晶性の物質からなるPSCのほかに、これまでユーレカ上空には見られなかった極域のオゾン層破壊への寄与が大きいと指摘されている液滴状の物質を含むPSCが観測された。

(3)福岡大学が中心となって、ライダー観測と同時に気球観測を2回行い、ライダーによる SCの観測と一致していた。  以上の観測結果は、北極域でもオゾン量の減少が起こっていることに科学的裏付けを与えるものであり、北極域でのオゾン層破壊の原因調査・観測を行う上で貴重な情報になるものと期待される。

注:用語の解説

ライダー観測:地上から上空に向けレーサー光のパルスを発射し、上空の大気中のエーロゾル(大気中の細かな塵)、雲、オゾンなどから散乱されて戻ってくる光を測定し、観測点上空のエーロゾル、雲、オゾンなどの鉛直構造を観測する装置。別名レーザー・レーダーとも呼ばれる。

塩化水素(HCI)と硝酸塩素(CIONO2):フロンが分解して放出された成層圏の塩素元素の貯蔵庫(リザボア)の役目を担う。オゾンとは直接反応せずPSCの表面での反応によって活性塩素(C1、C1O)を放出する。活性塩素がオゾンを劇的に破壊する。

FTIR:フーリエ変換型赤外分光装置の略。高分解能の太陽赤外光スペクトル観測に用いられる。大気中の微量成分により吸収を受けた赤外線量から微量成分の量を測る。

液滴状PSC:硝酸・硫酸・水の3種の成分が混合した液滴。成層圏の気温が低下した状況下でも結晶や氷にならず液滴のままで存在することがある。層の上下には結晶状態のPSCが存在することが多い。

粒子の光学特性:ライダー観測では、光の偏光を利用することで、粒子が球形か、非球形かを判別することができる。直線偏光で発射した光が液滴のような球形の物体から散乱されて戻ってくると出したものと同じ直線偏光で、結晶や氷のような球形から外れた物体からは、偏光状態が崩れた光が戻ってくる。この偏光状態が変わること(光学的な特性)を利用し、PSCが液滴か結晶かの判断ができる。

オゾン層破壊のメカニズム:1974年ローランドやモリーナによって、成層圏に流入してクロロフルオロカーボン類の光分解から放出された塩素や臭素などが、オゾンと反応して破壊することが指摘された。その後、南極上空で発見されたオゾンホールでは、極域成層圏雲(PSC)の表面で化学反応が起こり、、塩素を活性化させることが重要な働きをしていることが分かった。

2.環境庁による土壌汚染の実態調査

 環境庁は、都道府県および水質汚濁防止法に定められている政令市を対象に、土壌汚染調査・対策事例の実態と地方公共団体における対応状況について、平成10年度末現在でアンケート調査を行った。その結果が3月22日付けで発表されたが、以下はその概要である。

(1) 1975年度(昭和50年度)から1998 年度(平成10年度)末までの間に、都道府県 が把握した土壌汚染の調査事例は累積で659件であり、このうち土壌環境基準(溶出基準項目)に適合していないことが判明した事例(超過事例)は、累積で292件であった。超過事例のうち1998年度に判明したものは111件であった。

(2) 超過事例が判明した経緯をみると、平成11 年1月に策定した「土壌・地下水汚染に係る調 査・対策指針」の現況把握型の調査(土壌・地下水汚染の有無が判明していない土地の調査を行うもの。)により急増している。

(3) 超過事例(累積)について項目別にみると、 重金属等のみに係るものが160件、揮発性有 機化合物のみに係るものが114件、これらの 複合汚染が18件であり、個別の項目ではトリ クロロエチレン、鉛、砒素、テトラクロロエチレンの順に多い(図1参照)。また原因者を業種別にみると、電気機械器具製造業、金属製品製造業、洗濯業、化学工業の順に多い(表1)。

(4) 超過事例について今回新たに108件が恒久対策に係る取組みを実施していることが判明  し、超過事例(累積)292件のうち、142件は恒久対策完了、77件は恒久対策実施中、38件は恒久対策検討中であった。

(5) 今回新たに37の公共団体から土壌汚染に関する条例、要綱、指導指針等の制定の報告があり、これらを制定している地方公共団体数は、1999年7月1日現在で158となった。


環境保護情報(2000年3月)

(欠番)

環境保護情報(2000年2月)

1.気候変動枠組条約第5回締約国会議  気候変動枠組条約第5回締約国会議(COP5)は、1999年10月25日〜11月5日にボン(ドイツ)で開催され、約170ヵ国から4千人以上が参加した。議長にはポーランドのシシュコ前環境大臣が選出され、冒頭演説において、シュレーダー氏(ドイツ首相)、アルソガライ(COP4議長、アルゼンチン)、クタヤール氏(条約事務局長)から一様に、京都議定書を2002年までに発効させることを目標にすべきとの主張がなされた。  気候変動枠組条約が署名されたのは、1992年5月にリオデジャネイロで開催された地球サミット(環境と開発に関する国連会議)においてであり、2002年はその10周年となる。 今回の会議での主な議題は、   ・京都メカニズム(排出権取引、共同実施、ク  リーン開発メカニズム)の具体的な制度の策  定   ・義務の不遵守に対する措置   ・吸収源の取り扱い   ・技術移転、資金供与、人的資源の向上   ・先進国の義務の十分性の見直し   ・途上国の参加問題   ・小島嶼諸国、産油国への対策の実施   ・共同実施活動 などであった。  京都メカニズムについての具体的な話し合いはほとんど進展を見ず、2000年1月末までに各国の意見を聴取し、COP6での検討のために案を作成する予定である。

1.1 HFC・PFC問題における成層圏オゾン層   問題との関係  HFC、PFC、SF6の3ガスに関しては、COP4において決議されたように、モントリオール議定書締約国会合で組織されている「技術・経済アセスメントパネル(TEAP)」に新しい組織である「HFC・PFCタスクフォース」が設置された。  同タスクフォースは、1999年5月の第1回ワークショップ以来討議を重ねた報告書を今回準備しており、11月27日の「SBSTA(科学的・技術的助言のための補助機関」会合に同報告書を提出した。  これに対して、EUとスイスから削減効果について更に明確にするための見直しが必要であるとの指摘がなされた。米国と日本は、同タスクフォースの活動を強く支持した。  本件については、SBSTAが決議案を作成、COP5の席上で「決定17/COP5:成層圏オゾン層保護の努力と地球規模の気候システム防衛の努力との関係」として採択された。  HFC等3ガスの排出抑制対策は、次のCOP6のための準備会合から議論される予定である。 今回の「HFC・PFCタスクフォース報告書」は、IPCCの第3次報告書に反映される予定で、今後同タスクフォース議長のアンダーセン博士を中心として作業が開始される。

1.2 HFC・PFC問題について日本政府が提出  した計画 日本政府(オゾン層保護対策室)は、「HFC等削減の業界自主行動計画」を提出していたが、同文書は10月22日付けで気候変動枠組条約(FCCC)関係の公式文書となった(「FCCC/SBSTA/1999/MISC.6/Add.1」)。

2. 化学物質管理法(PRTR法)の動向  本通信1999年12月号で紹介してから、PRTR法に関しては、等の検討が行われ、同法の具体的な実施に係る事項が決定された。以下はその概要である。

2.1 パブリックコメントの募集  昨年の11月16日に開催中央環境審議会環境保健部会・化学品審議会安全対策部会・厚生省生活環境審議会生活環境部会の第3回合同会合により、PRTR法に係る諸問題について、広く国民から意見を聴取するという意見募集(パブリックコメント)を行うこととなった。この意見募集は、対象化学物質、製品の要件、対象事業者の3点について1999年11月19日から同年12月18日まで行われた。  その結果、164件の意見提出があり、その内訳は以下のごとくである。  ・企業 96件  ・団体 45件   うち、事業者団体  28件  労働団体    2件      NGO(消費者団体等) 15件  ・個人 23件  受け付けた164件の意見の内訳は、延べ470件であり、以下のような分類であった。  ・対象物質に関する意見 224件  ・製品の要件に関する意見 51件  ・PRTR対象事業者に関する意見 152件  ・パブリックコメントの対象外の事項に関する意見 43件 これらの意見は、以下のような分類で整理され、要約が紹介されている。  (1)対象物質について     ・物質選定の考え方への意見 ・対象候補物質全般への意見   ・第1種指定候補物質への意見 ・第2種指定候補物質への意見 ・対象物質への追加意見 ・その他  (2)製品の要件について ・形態について ・含有率について ・その他  (3)PRTR対象事業者について ・業種について ・従業員数について ・取扱量等について(取扱量、特別の要件、その他)  (4)パブリックコメントの対象外の事項について

2.2 対象物質  対象物質の選定基準としては、以下の9項目のいずれかの有害性に分類された物質で、「1年間の製造・輸入量」が一定量以上あることを考慮している。この場合の、一定量とは、100トンを基本とし、発がん性物質については10トンとする。  (1)発がん性  (2)変異原生  (3)経口慢性毒性  (4)吸入慢性毒性  (5)作業環境許容濃度から得られる吸入慢性毒性情報  (6)生殖/発生毒性  (7)感作性  (8)生殖毒性  (9)オゾン層破壊物質  その結果、PRTR法の報告義務が生ずる第1種指定化学物質は354種、MSDSのみの対象となる第2種指定化学物質は81種となった。

2.3 対象物質の製品要件  対象物質の製品要件として、対象とするものは以下の通りである。 (1)指定化学物質を含む製品が気体状のもの及   び液体状のもの  (2)指定化学物質を含む製品が固体状のものの 場合で、固有の形状を有しない製品 (3)指定化学物質を含む製品が固体状のものの 場合で、固有の形状を有する製品で、取り 扱いの過程で溶融、蒸発又は溶解する製品 また、対象から除くものとしては:  (1)密閉包装されている主として一般消費者の 生活の用に供される製品  (2)指定化学物質を含む製品が気体状のもの及 び液体状のものの場合で、密閉されたままの 状態で使用される形態の製品 (3)指定化学物質を含む製品が個体状の場合で、 固有の形状を有しない製品であって密閉さ れたままの状態で使用される形態の製品 (4)指定化学物質を含む製品が固体状のものの 場合で、固有の形状を有する製品で、取り扱 いの過程で溶融、蒸発又は溶解しない製品(た だし、石綿を含有する製品であって取り扱い の過程で精製や切断等の加工が行われるもの は対象に含める) (5)売却され再生される製品(再生資源)

2.4 届出対象業種  業種の事業特性、これまでのPRTRパイロット事業や化学物質の使用実態調査により得られた取扱や排出の実態等を踏まえて業種が決定された(本月報1999年12月号参照)。  なお、今後、対象化学物質の見直し、化学物質の使用状況の変化、化学物質の使用実態調査による新たな知見等があれば、必要に応じ業種指定を見直す。 

2.5 事業所規模  対象事業所は、常用雇用者が21人以上である事業所であること、指定された第1種指定化学物質の年間取扱量が1トン以上(ただし発がん性物質については0.5トン以上)であることとされた。 なお、当初2年間は年間取扱量が5トン以上の事業所を対象とすることにして、段階的に進めるものとして、制度の円滑な実施を図る。

環境保護情報(2000年1月)

1.大気汚染防止法による業界の自主管理  通商産業大臣の諮問機関である化学品審議会のリスク管理部会第16回会合が1999年12月21日に開催された。同会合は、大気汚染防止法に基づく有害大気汚染物質の自主管理計画の76工業団体における1998年度の進捗状況の報告と検討に関するものである。

1.1 自主管理計画について  この自主管理計画は、1996年5月の大気汚染防止法改正に基づくもので、事業者は有害大気汚染物質の大気中への排出状況を把握し、同時に排出を抑制するために必要な措置をとることが規定されている。  有害大気汚染物質には12物質が指定されており、洗浄剤としては、ジクロロメタン(塩化メチレン)、トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンが含まれている。

1.2 自主管理計画の実施状況  76団体の報告書によると、12物質の総排出量(ダイオキシン類を除く)は、1998年は48,371トンであり、基準年(1995年)の67,769トンから9%の減少となっている。

(a) 物質全体として1999年度削減目標を前倒しで達成した物質  物質別にみると、1999年度削減を前倒しで達成した物質は7物質であった。  その中で、トリクロロエチレンは36団体により4,594トンが大気中に排出されたが、2,501トンを削減し、1999年度の削減目標の35%削減を達成している。  トリクロロエチレンで削減目標を達成した団体は、(社)日本自動車工業会、全国鍍金工業組合連合会、(社)日本スポーツ用品工業会、日本金属熱処理工業会、(社)日本印刷産業連合会、線製品工業会、日本金属洋食器工業組合、日本金属ハウスウェアー工業組合、軽金属製品協会、(社)日本アルミニウム協会、(社)日本自動車部品工業会であった。  また、(社)日本電線工業協会は、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンの3物質全体で削減目標を達成している。

(b) 引き続き目標達成に向けて努力を行うことが必要な物質  今後1999年度での目標達成に向けて更なる努力が期待される物質には、6物質があげられており、その中には塩化メチレンとテトラクロロエチレンが含まれている。  塩化メチレンは、44団体が約22,600トン大気に排出し、基準年に対して6,272トン削減したことになり、1999年度の削減目標の69%に到達している。削減目標を達成した団体は、(社)日本化学工業協会等、全国鍍金工業組合連合会、(社)日本自動車工業会、日本ゴム履物協会、日本靴工業会、(社)新金属協会であった。  テトラクロロエチレンの場合は、26団体が1,621トンを大気に排出し、基準年に対して763トン削減したことになり、1999年度の削減目標の94%に到達している。削減目標を達成した団体は、(社)日本化学工業協会、日本金属熱処理工業会、日本毛整理協会等2団体、(社)日本アルミニウム連盟、(社)日本印刷産業連合会、(社)日本自動車部品工業会であった。

(c) 排出抑制対策の概要  排出削減量の大きいモデルケースにおける排出抑制対策について、6物質についてその概要が一覧表に整理されている。その中に、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンが含まれておりその内容は別表のごとくである。

1.3 今後の検討  大気汚染防止法では、その附則第3条で法施行(1997年4月1日)後3年を目途に制度の見直しを含めた検討を実施し、所要の措置を講ずることが規定されている。  本件に関しては、同部会において、以下のような制度見直しの検討案が提示された。

(a) 2000年度自主管理計画のフォロー  当該制度の見直しを検討する上で、大気の汚染状況を勘案しつつ、現在の自主管理計画のスキームが有害大気汚染物質の排出又は飛散を抑制する手段として、適切かつ十分なものかをあきらかにすることが重要となる。  2000年度におけるチェックアンドレビューでは、自主管理計画の進捗状況等の詳細な評価を行うことにより、自主管理の有効性等について検証を行うことが必要であり、各業界においては、自主管理の有効性等を証明する網羅的な対象物質の抑制対策及び排出実態の報告が求められるところ。具体的には、対策実施前後の敷地境界濃度や排出総量の分布状況についての把握が必要と考えられる。(以下略)

(b) 今後の予定  2000年の予定は以下の通り:  ・1月 中央環境審議会大気部会排出抑制専門委員会  ・5月末 各業界から自主管理計画最終報告書の提出   ・6〜9月 化学品審議会及び中央環境審議会によるチェックアンドレビュー  ・10月以降 制度の見直しの検討 <参考資料>  ・通商産業省:「化学品審議会第16回リスク管理部会・配布資料」(1999.12.21)

2.第11回モントリオール議定書締約国会合に産洗協も参加  第11回モントリオール議定書締約国会合は、第5回ウィーン条約会議と併せて、11月29日〜12月3日に北京で開催されたが(その概要は前月号を参照)、日本産業洗浄協議会会員もオブザーバーとして参加した。

2.1 「オゾン層にやさしい技術と製品の国際展示会  同会議の会期中に、北京国際会議場に「オゾン層にやさしい技術と製品の展示会」が併設され、中国環境保護局(SEPA)、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、国連産業開発機構(UNIDO)、世界銀行を中心として世界の60団が出展した。  日本からは、オゾン層保護対策産業協議会が中心となり、日本産業洗浄協議会、日本電機工業会、日本冷凍空調工業会が共同してパネル展示を行った(本月報99年11月号参照)。同時に、当協議会の会員からの希望を受けて、会員のオゾン層保護対策に係わる洗浄技術のパンフレットを展示、配布を行った。議会の会員からの希望を受けて、会員のオゾン層保護対策に係わる洗浄技術のパンフレットを展示、配布を行った。  また、ジャパンフィールド㈱と日鉱石油化学㈱は、脱エタン・フロン用縦型真空洗浄装置と炭化水素系溶剤を展示、参加者の注目を浴びた。  入場者は、会議出席者、中国政府関係者、報道関係者等約1,200名程度であった。

2.2 中国洗浄工程技術合作協会との会合  北京において、第11回モントリオール議定書締約国会合に併せて、中国洗浄工程技術合作協会と日本産業洗浄協議会との情報交換の会合が12月1日に北京市で行われた。同会合のアレンジは、正会員の旭化成工業㈱の北京事務所長小林氏によるものである。  同協会からは、理事長の沈金寶氏が、当協議会からは、小林氏(旭化成工業㈱)、大川氏(オゾン層保護対策産業協議会)、永里氏(㈱旭リサーチセンター)、北村氏(ジャパンフィールド㈱)、それに通訳として施女史(旭化成工業㈱)が出席した。  席上では、主として中国の情報を聴取し、現在中国で進められている国連開発計画(UNDP)の洗浄関係プロジェクト、中国洗浄工程技術合作協会の活動内容、中国におけるエタン・フロンの使用状況についての情報を得た。  日本からは、日本政府により二国間技術支援の計画がUNEPに提出されており、洗浄分野においては、日本産業洗浄協議会が中心となって中国への技術支援を行う準備があることを説明、今後一層の連携強化を約した。 <参考資料>  ・オゾン層保護対策産業協議会:「第11回モントリオール議定書締約国会合報告」(1999.12)

3.中国への洗浄技術支援計画が日本政府により進行中  モントリオール議定書に基づく途上国支援は、先進国の拠出による多数国間基金(モントリオール基金)によって財政的に支えられている。この拠出金の20%までは、拠出国が特定の途上国に向けて二国間協力事業として使用可能である。二国間協力のプロジェクトについては、多数国間基金の運用を審議、決定する委員会「モントリオール議定書多数国間基金執行委員会」によって承認されなければいけない。

3.1 第29回モントリオール議定書多数国間基金執行委員会  1999年11月24日〜26日に北京において「第29回モントリオール議定書多数国間基金執行委員会」が開催され、日本代表として通産省オゾン層保護対策室から河野氏、安田女史、外務省から猪又氏(神戸大学大学院教授)、藤本氏(地球規模問題課)が出席した。  今回、日本政府が二国間協力事業として申請した以下の3件のプロジェクトが、執行委員会により承認された。

(1)中国・深せんにおける洗浄分野準備プロジェクト  ・対象企業:深せん地域の液晶・カラーTV製造事業者10社  ・事業概要:転換技術の特定、必要な洗浄機器、洗浄剤のコストの確定等を行う。  ・承認供与資金額:56,500US$  ・実施機関:国連開発計画(UNDP)

(2) 南アジア地域におけるワークショップ  ・対象国:バングラデシュ、中国、イラン、インド、韓国、北朝鮮、モルディブ、モンゴル、ネパール、パキスタン、スリランカ  ・事業概要:オゾン層破壊物質の輸出入に係るライセンシングシステムの構築又は強化等のため にワークショップを開催する。  ・承認供与資金額:107,350US$  ・実施機関:国連環境計画(UNEP)

(3)東南アジア・太平洋地域におけるワークショップ(スウェーデンと共同申請)  ・対象国:ブルネイ、フィジー、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、 シンガポール、タイ、ヴェトナム  ・事業概要:オゾン層破壊物質の輸出入に係るライセンシングシステムの構築又は強化等のため にワークショップを開催する。  ・承認供与資金額:62,150US$(日本負担分)  ・実施機関:国連環境計画(UNEP)

3.2 産洗協は「深せん洗浄分野準備プロジェクト」に協力を計画中  上記の「深せん洗浄分野準備プロジェクト」について、通産省オゾン層保護対策室は、当協議会と(社)日本電子機械工業会とに準備調査への協力を期待しており、当協議会は「途上国支援準備委員会」においてその協力体制を検討中である。  (注)中国におけるオゾン層破壊物質の使用状況  中国におけるCFCの用途別の消費量について、1991年のデータを<図1>に示す。  なお、中国における洗浄用途のODSの生産・消費の状況については、本月報1998年12月号で紹介されている。 <参考資料>  1)通産省オゾン層保護対策室:「第29回モントリオール議定書多数国間基金執行委員会報告」 (1999.12)  2)オゾン層保護対策産業協議会:「途上国に対する二国間支援の支援活動」(1999.12)

4.塩化メチレンを水質汚濁防止法の規制対象へ追加  水質汚濁防止法では、従来「洗浄施設等の届出」が義務付けていた洗浄剤は、トリクロロエチレンとテトラクロロエチレンであった。  塩化メチレン(ジクロロメタン)は、排出規制の対象として、排水基準(0.2mg/l以下)、浄化基準値(0.02mg/l)は規定されていたが、洗浄施設等の届出は義務付けられていなかった。しかし、昨今の塩化メチレンの洗浄用途の使用量が著しいことから、類似の洗浄剤であるトリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンと同様に規制すべきであるとの意見が出され、1999年11月に開催された中央環境審議会水質部会において洗浄施設と蒸留施設について規制対象となる特定施設に追加すべきとの答申がなされた。  その結果、政府は1999年12月17日の閣議において、水質汚濁防止法施行令の一部改正を決め、塩化メチレンの洗浄施設および蒸留施設を規制対象となる特定施設に追加した。本改正の施行は2000年3月1日となる。

5.平成10年度地下水質の測定結果について  環境庁は、1999年12月7日に、「平成10年度地下水質測定結果」を発表した。  これは、水質汚濁防止法に基づいて、1988年以降、国および地方公共団体が行っている地下水の水質汚濁の状況監視による測定結果をまとめたものである。  同法に基づいて、「人の健康の保護に関する環境基準」が定めあれている23物質の中に、洗浄剤として使用されている4物質(塩化メチレン、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン)が含まれている。  全体のまとめとして、水質汚濁状況の推移について、健康項目の環境基準達成率は、前年度に引き続き99.5%とほとんどの地点で環境基準を満足していると説明されている。  今回の結果を含めて1993年以降の健康項目の不適合率の推移が<表2>のごとく同報告書に紹介されている。 <参考資料>  ・環境庁水質保全局:「平成10年度公共用水域水質測定結果」(1999.12)

環境保護情報(1999年12月)

1.化学物質排出管理法(PRTR法)の動向

1.1 審議会の最終案  中央環境審議会(環境庁長官の諮問機関)、生活環境審議会(厚生大臣の諮問機関)、および化学品審議会(通商産業省大臣の諮問機関)は、第3回の合同会合を11月19日に開催、PRTR法の具体的な実施に係わる事項に関する最終案を取りまとめた。以下はその概要である。  (1)対象物質  PRTRの報告の義務のある対象物質の候補(第1種指定候補物質)の選定基準は、発がん性のおそれ、動植物の生育への支障、オゾン層を破壊するものなどで、年間100トン以上の製造輸入量のあるものであり、特に毒性の強い物質や農薬は年間10トン以上のものとされ、356物質がリストアップされた。その中には“物質群”および“化合物”として性質が類似の物質を便宜上一つの物質としてまとめたものが含まれている。  また、MSDSのみ対象となる第2種指定候補物質には、80物質がリストアップされた。  今回の選定に際して、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)については、科学的知見が不十分であるとして、対象に指定することが見送られている。

(2)対象物質の製品要件  化学物質の製品要件については、①気体または液体の混合物、②固体状の混合物のうち粉末等の固有の形状を有しないもの、③固有の形状をもつ混合物の中で取扱課程で選定された化学物質を溶融、蒸発、溶解させる可能性のあるものと規定されている。  これらの物質中に指定化学物質が1%以上(発がん性の高いものは0.1%以上)含まれるものは対象となる。

(3)届出対象業種  届出対象業種としては、指定化学物質の取扱量が一定以上あるとみられる47業種が選ばれた(別表「届出対象業種(案)」参照)。

(4)事業所規模  対象となる事業所の規模については、従業員が21人以上で、1事業所あたり、年間1トン以上の指定化学物質を取り扱う企業と規定された。  ただし、発がん性の高い指定化学物質については、年回取扱量を0.5トン以上で対象事業所に指定できる。

(5)今後の予定  両審議会は、パブリックコメントの受付を行い、2000年1月下旬にこれらの細目を確定して4月までに政令を発令する。  その後、周知徹底するために約1年間をかけ、2001年4月に同法を施行し指定化学物質の移動量を集計、2002年3月までのデータを都道府県に届け出て、国がそのデータを公表する。

(6)届出対象業種  環境庁は、これらの審議会案を受けて、PRTRに関する最終的なパイロット事業を、2000年にほぼ全国的な規模で行う予定である。  これは、該当する企業がPRTR制度に円滑に対応できるように、2001年4月のPRTR施行に先だって、ほぼ実際の法律に対応したかたちで実施することを目的としている。  環境庁は、PRTRに関するパイロット事業を1997年から開始し、当初は愛知県(西三河地区)、神奈川県(川崎市、湘南地区)を対象とし、次いで北九州市、東京都、広島県等13地域に拡大して実施してきた。

2.第11回モントリオール議定書締約国会合 第5回ウィーン条約締約国会議および第11回モントリオール議定書締約国会合は、11月29日〜12月3日にわたり、北京市(中国)において開催された。同会合には、約180ヵ国からの政府代表者およびオブザーバーが出席、日本産業洗浄協議会からも初めてオブザーバーとして、北村裕夫氏(ジャパン・フィールド㈱)、森本陽士氏(日鉱石油化学㈱)、永里義彦氏(㈱旭リサーチセンター)が参加した。  以下は、同会合で討議、決定された主な事項である。

(1)HCFCの規制強化(議定書の改正)  HCFCの規制は、従来消費量についてのみであったが、新たに生産量規制と貿易規制以下のように導入された。 ①先進国における生産量規制  1989年を基準年とし、CFCとHCFCか ら別途算定される生産量と消費量の平均値を基 準量として、2004年から100%以下とす る。 ②途上国における生産量規制  2015年を基準年とし、HCFCの生産量と 消費量の平均値を基準量として、2016年か ら100%以下とする。 ③貿易規制  非締約国との輸出入等の禁止措置を2004年 から導入。

(2)規制物質の追加(議定書の改正)  ブロモクロロメタンを規制物質とし、2002年より規制を開始する。

(3)多数国間基金の補填  2000年から2002年までの3年間の多数国間基金の資金規模を4億7570米ドル(うち前期(1997年〜1999年)繰越額を除いた追加的拠出額は4億4千万米ドル)と決定。

(4)北京宣言の採択  ホスト国の中国が強いイニシアティブを発揮し、本年7月より途上国においてCFCの規制が開始されたこと等を背景として、21世紀に向けてのオゾン層の保護に関する各国の取組姿勢を記した「北京宣言」を採択した(モントリオール議定書に基づく規制物質の削減の進展の確認、途上国の削減の取り組みへの先進国等による財政的、技術的支援の継続等の要請)。

環境保護情報(1999年07月)

1.地球温暖化対策の動向

 地球温暖化対策は、地球規模の議論が実り、国際的な取り決めとして、1992年に「気候変動枠組条約」が更に1997年に「京都議定書」が採択された。以下は、その後の日本における政府および関係者の動向である。


1-1「地球温暖化対策の推進に関する法律」

日本では、この京都議定書を受けて、1998年10月9日に「地球温暖化対策の推進に関する法律」を公布した。本法律は、地球温暖化防止の基本法となるもので、世界初の法制度となった。これを受けて、中央環境審議会企画政策部会では、地球温暖化に関する基本方針の審議を、1999年3月に答申すべく開始した。

1-2「地球温暖化対策の推進に関する法律施行例」

 この法律では、温室効果ガスの排出量の算定方法は、別途政令で定めることとされていた。その政令は、「地球温暖化対策の推進に関する法律施行令」として1994年4月8日に公布された。この施行令は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」が4月8日から施行されることを受けたものである。
 この政令では、温室効果ガスの種類と排出量の算定方法が規定されている。対象ガスとしては、人工の化学物質として、13種類のHFC、7種類のPFC、およびSF6が含まれている。
 各温室効果ガスおよび分野別に、活動量と排出係数の積として排出量を求め、これらを合計して総排出量とするものと規定されている。排出係数は、実態を踏まえて年度毎に設定するものとしているが、ほん政令ではその値はまだ定められていない。

1-3「地球温暖化対策に関する基本方針」

 また、政府は、4月9日の閣議で、「地球温暖化対策に関する基本方針」を決定した。これは、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づいて、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るために、環境庁庁官の諮問機関である中央環境審議会に諮問し、その答申を受けて、閣議決定されたものである。
この基本方針は、先の法律の規定に基づく、国の温暖化対策における基本方針で、 その柱は、以下の通りである。

  1. 地球温暖化対策の推進に関する基本方向として、そのめざすべき方向、対策の策定実施に当たっての指針を明確にする。排出量取引などは補足的なものとして国内対策の推進を基本とする。
  2. 国、自治体、事業者および国民が温室効果ガスの排出抑制のための講ずべき措置の基本事項。市場原理を活かしたインセンティブ付与型施策を重視する。
  3. 情報公開。政府の排出抑制措置に関する計画に関する事項として、計画の策定と公表および措置の内容と達成目標の明示。


塩素系溶剤に適用される主な関係法令

              溶剤名
関係法令
トリクロロ
エチレン
テトラクロロ
エチレン
塩化メチレン
オゾン層保護法 - - -
化学物質の審査及び製造等の規則に関する法律(化審法) 第2種特定化学物質 第2種特定化学物質 -

環境基本法
●水質汚濁に係わる環境基準
 人の健康の保護に関する環境基準

 地下水の水質汚濁に係わる環境基準

●大気汚染に係わる環境基準



0.03mg/ l 以下

0.03mg/ l 以下

0.2mg/m3 以下
(1年平均値)



0.01mg/l 以下

0.01mg/ l 以下

0.2mg/m3 以下
(1年平均値)



0.02mg/l 以下

0.02mg/ l 以下

-

水道法 水質基準 0.03mg/ l 以下 0.01mg/l 以下 0.02mg/l 以下
下水道法 水質基準 0.3mg/l 以下 0.1mg/l 以下 0.2mg/l 以下
水質
汚濁
防止法
排水基準 0.3mg/l 以下 0.1mg/l 以下 0.2mg/l 以下
地下への浸透 禁止 禁止 禁止
洗浄施設等の届出 該当 該当 -
地下水の水質の浄化に係る措置命令 適用 適用 適用
浄化基準値 0.03mg/l 0.01mg/l 0.02mg/l
大気汚染防止法 指定物質 該当 該当 -
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(運搬、処理等の外部委託)
特別管理産業廃棄物処理業者 特別管理産業廃棄物処理業者 特別管理産業廃棄物処理業者
海洋汚染及び海上災害防止法 C類物質 B類物質 D類物質
家庭用品の規制法 含有量0.1wl %
以下
含有量0.1wl %
以下
-
労働安全
衛生法
有機溶剤中毒予防規則 第1種有機溶剤 第2種有機溶剤 第2種有機溶剤
管理濃度 50 ppm 50 ppm 100 ppm





日本産業衛生学会(1999) 25 ppm
135mg/m3
経皮吸収暫定物質 50 ppm(暫定値)
170mg/m3
ACGIH
(TLV-TWA)
50 ppm
269mg/m3
25 ppm
170mg/m3
50 ppm
17.4mg/m3



日本産業衛生学会(1999) 第2群B(暫定)
(疑いあり、
証拠不十分)
第2群B
(疑いあり、
証拠不十分)
第2群B
(疑いあり、
証拠不十分)
IARC
(国際がん研究機関)
グループ2A
(おそらくあり)
グループ2A
(おそらくあり)
グループ2B
(疑いあり)
U.S. EPA
(米国環境保護庁)
検討中 検討中 グループ2B
(疑いあり)
ACGIH(米国産業衛生専門家会議) A5(なし) A3(動物:あり
 人:なし)
A3(動物:あり
 人:なし)
大気中の平均寿命(年) 0.02 0.5 0.41
オゾン破壊係数(ODP) 0.005 0.005 0.007
(出典)クロロカーボン衛生協会



地方自治体の条例、要網による
塩素系溶剤の大気排出基準等


条 例 ・ 要 網
トリクロロエチレン テトラクロロ
エチレン
塩化メチレン
東京都公害防止条例 排出 100ppm
 (標準状態)
排出 100ppm
 (標準状態)
-
神奈川県生活環境の保全等に関する条例 排出 50ppm 排出 50ppm 排出 50ppm
川崎市公害防止条例 敷地 12mg/m3
   (2ppm)
 (30分間値)
- -
新潟県トリクロロエチレン等
環境汚染防止対策推進要網
排出 最大 50ppm
   平均 20ppm
排出 最大 50ppm
   平均 20ppm
-
愛知県公害防止条例 排出 540mg/m3
 (100ppm)
排出 680mg/m3
 (100ppm)
-
京都府環境を守り育てる条例 排出 200cm3/m3
  (200ppm)
 (30分間値)
敷地(地上1.5m)
 2cm3/m3 (2ppm)
 (30分間値)
排出 200cm3/m3
  (200ppm)
 (30分間値)
敷地(地上1.5m)
 2cm3/m3(2ppm)
 (30分間値)
排出 200cm3/m3
  (200ppm)
  (30分間値)
敷地(地上1.5m)
 2cm3/m3(2ppm)
 (30分間値)
奈良県生活環境保全条例 排出 C=408・S/Q*
  (30分間値)
敷地 12mg/m3
  (2ppm)
 (0℃,1atm)
 (30分間値)
- -
和歌山県公害防止条例 排出 140ppm
地上 0.7ppm
 (0℃,1atm)
 (30分間値)
- -

大阪府生活環境の保全等に関する条例
 ドライクリーニング施設(洗濯能力30kg/回以上)
  次のいずれかに該当すること。

 (1) 乾燥工程:凝縮式処理装置又はこれと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼働させること。  
 (2) 脱臭工程:吸着式処理装置又はこれと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼働させること。

 溶剤洗浄施設(洗浄槽の液面の面積が0.5m2以上)
  次のいずれかに該当すること。

 (1) 吸着式処理装置若しくは薬液による吸収式処理装置又はこれと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼働させること。
 (2) 密閉式構造とし、適正に管理すること。

(注)排出:排出口濃度(基準); 敷地:敷地境界線(上)濃度(基準);  地上:地上到達地点濃度
    C:排出口基準濃度(mg/Nm3) (0℃, 1atm換算)
    S:23.1(Ho-6)2、ただし、Ho:排出口の実高さ(m)
    Q:排水ガス量(m3/分)(0℃, 1atm換算)


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