1.(社)産業環境管理協会によるVOCの排出実態調査 (社)産業環境管理協会は、平成18年度の経済産業省委託調査として、「環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物(VOC)排出実態調査)」を行い、報告書を3月に発表した。 ここでは、同協会のご了解を得て、調査の趣旨、および特に、“洗浄分野におけるVOC排出量”の項目を以下に紹介する。詳細については、同報告書を参照されたい(以下に紹介する図表の番号は、報告書記載のまま)。 1.1 調査の趣旨 VOCの排出抑制は、改正大気汚染防止法に基づいて、法規制と事業者の自主的取組を適切に組み合わせて(ベストミックス)排出抑制を図ることとなり、固定発生源からのVOC発生量を平成22年度までに、平成12年度比で3割程度抑制することが目標となっている。 経済産業省では、所管の業界団体に対し、VOC排出抑制に係る自主行動計画の策定、提供を要請しているが、排出抑制量を評価するに当たっては、基準年度(平成12年度)の排出量を把握しておくことが必要である。 現在、環境省から平成14年度の調査結果として示されている推計値約150万トンについては、推計方法やデータに検討の余地が残されており、また、VOCの排出抑制目標は、固定発生源全体としてのものであるため、自主的取組に参加していない事業者も含めた至近年次でのVOC排出量の傾向も併せて把握しておくことも重要と考えられる。 このため、本調査では、基準年度である平成12年度におけるVOC排出量の他に、VOC排出量の推移を把握するため、平成16、17年度におけるVOCの大気排出量も推定することとした。 1.2 VOC大気排出量推計結果 発生源別に推計したVOC大気排出量は、表3.3(7ページ)の通りで、平成12年度の排出源ごとのVOC排出割合は図3.1(7ページ)の通りである。また、物質別のVOC大気排出量推計量は表3.4(8ページ)の通りである。 年度別の総合計排出推計量は(括弧内は工業用洗浄分野の量、千トン/年); ・ 平成12年度:12,95.4(70.7) ・ 平成16年度:10,48.4(46.6) ・平成17年度:10,10.7(45.3) 1.3 発生源ごとのVOC大気排出量の推計(工業用洗浄) 本文では、以下の項目について記載されているが、報告書の該当ページを以下の9~13ページに転載する。 (1)VOC発生源と推計対象範囲 (2)関連業種・関連団体 (3)推計方法と推計結果 ①VOC販売量と使用量 ②大気排出率の設定 ③VOC大気排出量の推計と結果 ④データの出典と業界団体の報告値の補足率 ⑤VOC成分別排出量 ⑥今後の課題 <参考資料> ・(社)産業環境管理協会:「環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物(VOC)排出実態調査)報告書」(平成18年度経済産業省委託調査報告書)、A4/140p(2007.3)
2.環境省によるVOC排インベントリ(報告)について 環境省では、平成18年度に、「揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ検討会」(以下「検討会」という。)を設置し、平成12年度を対象に作成した「既存インベントリ」の見直しを行い、その精度等を向上させたインベントリ(以下「改訂インベントリ」という。)を作成した(ここで、“インベントリ”とは、発生源品目、およびその排出量、排出量の推計方法を指している)。 ここでは、その取りまとめの事務局を務めた(社)環境情報科学センターのご好意により、調査の趣旨、および特に、“工業用洗浄分野におけるVOC排出量の推計”の項目を以下に紹介する。詳細については、同報告書を参照されたい。 2.1経緯 平成16年5月に大気汚染防止法の一部を改正する法律が公布され、これに基づき法規制と自主的取組の適切な組み合わせ(ベストミックス)により、VOCの排出抑制が進められることになった。その後、平成18年3月に専門委員会が取りまとめた「揮発性有機化合物の排出抑制に係る自主的取組のあり方について」においては、今後の取組として「VOC排出インベントリの整備・更新」の必要性が指摘された。 2.2報告書の概要 既存インベントリを基本としたうえで、次の見直し等を行った。 ①発生源の抽出を系統的に行い、これまでのデータの精度を向上させたこと。 ② VOC削減目標年度である平成22年度まで継続的に統計可能な推計方法へ変更したこと。 ③ これらを受けて推計を行ったところ、平成17年度の全国のVOC排出量(t/年)は約121万トンであり、12年度(約147万トン)の82.6%となった。 2.3発生源品目別のVOC排出量の推計結果 全国のVOC排出量の発生源品目別の推計結果は、表1の通りである(14ページ)。 ・平成12年度:1,465,338トン/年 ・平成17年度:1,210,932トン/年 2.4工業用洗浄分野におけるVOC排出量の推計 本文では、以下の項目について記載されているが、報告書の該当ページを以下の15~24ページに転載する。 ①工業用洗浄剤 (ア)推計対象とする範囲 (イ)排出に関係する業種 (ウ)排出する物質 (エ)排出量の推計方法等 a)推計方法 b)推計フロー c)推計に使用したデータ <参考資料> ・揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ検討会:「揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリについて(報告)」A4/58p (2007.3) ・環境省水・大気環境局大気環境課:「揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ(平成12年度及び平成17年度排出量)」A4/131p (2007.3)
3.審議会の開催状況 3.1 産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会(第15回) ・日時:平成19年4月3日(水) ・場所:経済産業省本館17階国際会議室 ・議題:(1)京都議定書目標達成計画に基づく取組の評価等について ①産構審環境部会地球環境小委・中環審地球環境部会合同会合における検討状況について ②各分野の第一約束期間の見通しについて 1)HCFC-22製造分野 2)発泡・断熱材分野 3)エアゾール等分野 4)洗浄剤・溶剤等分野 5)半導体・液晶製造分野 6)マグネシュウム鋳造分野 (2)その他 ・配布資料: <資料1-1>産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議階化学地球環境部会合同会合の審議日程 <資料1-2>計画の進捗状況の点検及び中間的取りまとめの作業について <資料2>化学・バイオ部会地球温暖化小委員会の開催スケジュール(案) <資料3-1>代替フロン等3ガス個別分野の見通し検討の考え方(総論) <資料3-2>代替フロン等3ガス個別分野の見通し(個表) <参考資料1>合同会合第7回資料1~5 「代替フロン等3ガス個別分野の現状等」 「半導体・液晶製造業のPFC削減取組について」 「マグネシュウム産業におけるSF6削減の取り組について」 「冷凍空調分野における温暖化対策の取り組み」 「ノンフロン化社会の実現に向けて」 <参考資料2>合同会合第7回に関する中環審浅岡委員質問・回答 <参考資料3>合同会合第7回議事要旨 <参考資料4>合同会合各省ヒアリング資料(代替フロン等3ガス部分) <参考資料5>グリーン購入法基本方針の変更及び公共事業標準仕様書の改訂について
3.2 中央環境審議会地球環境部会(第52回) ・日時:平成19年4月12日(木) ・場所:東海大学校友会「阿蘇」の間 ・議題:(1)地球温暖化問題をめぐる最近の状況について ①IPCC第4次報告書第2作業部会の報告 ②「2050日本低炭素社会シナリオ」について ③その他 (2)漂流・漂着ゴミ等最近の地球環境保全の取組について ①漂流・漂着ゴミ問題について ②環境大気汚染問題について (3)その他 ・配布資料: 中央環境審議会地球環境部会委員名簿 <資料1>IPCC第4次評価報告書第2作業部会報告書の概要 <資料2>2050 日本低炭素社会シナリオ:温室効果ガス70%削減可能性検討 <資料3>G8環境大臣会合の結果について <資料4>「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画」(政府の実行計画)について <資料5>地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会報告書 <資料6>我が国における漂流・漂着ゴミ問題について <資料7>我が国における越境大気汚染問題について
3.3 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会(第53 回)・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第14回) ・日時:平成19年4月17日(火) ・場所:三田共用会議所 講堂 ・議題:(1)排出量及び取組の状況等に関する論点整理について (2)その他 ・配布資料: <資 料>排出量及び取組の状況等に関する論点整理(案) <資料1>温室効果ガス排出量の動向に係る関連データ <資料2>京都議定書目標達成計画の個別対策・施策の進捗状況 <資料3>2006年度自主行動計画フォローアップ結果及び今後の課題等 <参考資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見直しに係るヒアリングを踏まえた質問について(回答依頼) <参考資料2>エネルギー効率の国際比較について(経済産業省) <参考資料3>世界の温室効果ガスの排出強度(環境省) <参考資料4>京都メカニズムクレジット取得事業の結果について <参考資料5>各省ヒアリングに関する質問と回答<参考資料6>南學委員からの意見
3.4 中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第4回)、産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第3回)合同会合(第3回) ・窓口:経済産業省製造産業局化学物質管理課環境省環境保険部環境安全課 ・日時:平成19年4月18日(水) ・場所:三田共用会議所3階大会議室 ・議題:(1)PRTR制度の課題と今後の方向性について ・届出事項について ・未届出事業者への指導対策について ・対象物質と対象事業者の要件について ・排出量把握手法及び届出外排出量の推計手法について (2)その他 ・配布資料: <資料1>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会委員名簿 <資料2>産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ委員名簿 <資料3>第2回合同会合議事録(案) <資料4>これまでの合同会合における意見の整理 <資料5>第2回合同会合における指摘事項への回答 <資料6>化学業界における自主管理の取組状況について <資料7>PRTR届出事項について <資料8>国によるPRTR制度の普及・啓発について <資料9>対象物質について <資料10>PRTR対象事業者の要件について <資料11>PRTR排出量等の算出手法について <資料12>PRTR届出外排出量の推計について
3.5 中央環境審議会環境保健部会 化学物質環境対策小委員会(第5回)、産業構造審議会化 学・バイオ部会 化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第4回)合同会合(第4回) ・日時:平成19年5月11日(火) ・場所:経済産業省本館17階 第1共用会議室 ・議題:(1)PRTR制度の課題と今後の方向性について ・排出量把握手法及び届出外排出量の推計手法について (2)化学物質の自主管理に関する課題と今後の方向性について ・自主的な化学物質管理の在り方について ・事業者によるリスクの把握について ・より安全な物質への代替について ・化学物質の自主管理に関する地方公共団体の役割について (3)リスクコミュニケーション及び人材育成に関する課題と今後の方向性について (4)その他 ・配布資料: <資料1>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会委員名簿 <資料2>産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ委員名簿 <資料3>第3回合同会合議事録(案)(当日は委員のみ配付。委員承認後の内容を別途掲載) <資料4>これまでの合同会合における意見の整理 <参考5>委員から提出された追加意見 <参考6>PRTR排出量等の算出手法について <参考7>PRTR届出外排出量の推計について <参考8>自主的な化学物質管理の在り方について <参考9>事業者によるリスクの把握について <参考10>より安全な物質への代替について <参考11>化学物質の自主管理に関する地方公共団体の役割について <参考12>リスクコミュニケーション及び人材育成について <参考資料1>化学物質のリスク評価のためのガイドブック(入門編) <参考資料2>化学物質のリスク評価のためのガイドブック(実践編)(委員限り) <参考資料3>PRTR対象化学物質の排出削減に向けた取組事例集(委員限り) <参考資料4>PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック(平成18年度集計結果) <参考資料5>化学物質アドバイザー啓発リーフレット
3.6 官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム-第4回プログラム推進委員会 ・日時:平成19年5月15日(火) ・場所:環境省第1会議室(中央合同庁舎第5号館) ・議題:(1)プログラムの推進状況について (2)海外における取組の動向について (3)中間評価にむけた対応について (4)その他 ・配布資料: <資料1>第3回委員会以降の活動状況 <資料2>優先情報収集対策物質リストの修正について <資料3>海外における既存化学物質への対応等の動向 <資料4>Japanチャレンジプログラム中間評価に向けたスケジュールについて(案) <参考資料1>委員名簿 <参考資料2>Japanチャレンジプログラムスポンサー登録状況について <参考資料3>国による既存化学物質点検状況一覧 <参考資料4>国の既存化学物質安全点検により得られた情報の利用に係る考え方について <参考資料5>優先情報収集対策物質リスト
3.7 産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会(第16回) ・日時:平成19年5月21日(水) ・場所:ホテルフロラシオン青山 ・議題:(1)京都議定書目標達成計画に基づく取組の評価等について ①産構審環境部会地球環境小委・中環審地球環境部会合同会合における検討状況について ②各分野の第一約束期間の見通しについて 1)ガス製造 2)電気絶縁ガス機器 3)業務用冷凍空調機器 4)自動車(カーエアコン) 5)家庭用エアコン 6)家庭用冷蔵庫 (2)その他 ・配布資料: <資料1-1>合同会合の審議日程 <資料1-2>排出量及び取組の状況に関する論点整理(案) <資料2>代替フロン等3ガス個別分野の見通し(個表) <資料3-1>マスバランス方式による冷凍空調機器分野の暫定推計 <資料3-2>諸外国等における冷凍空調機器分野の排出量算定方式 <参考資料1>化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会の開催スケジュール <参考資料2>代替フロン等3ガス個別分野の見通し検討の考え方(総論) <参考資料3>IPCC2006年ガイドラインで示されているデフォルトの排出係数 <参考資料4>平成19年度地域地球温暖化防止支援事業の公募状況 <参考資料5>「排出量及び取組状況に関する論点整理(案)」に対する(社)日本冷凍空調工業会の意見
3.8 中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会 環境部会地球環境小委員会合同会合(第15回) ・日時:平成19年5月25日(金) ・場所:ベルサール神田 ホール ・議題:(1) 国民運動の推進について(環境省) (2) ヒアリング ○ 地方公共団体(東京都) 都市地球環境部 環境配慮事業課長山本 明氏 環境政策部 環境政策担当副参事小原 晶氏 ○ NGO(CAN Japan) 気候変動プログラム・アソシエート小野寺 ゆうり氏 (3)その他 ・配布資料: <資料1>当面の日程について <資料2>国民運動の推進について(環境省) <資料3-1>東京都における大規模事業所に対する地球温暖化対策について(東京都) <資料3-2>東京都における電力のグリーン購入(東京都) <参考4>国際的視点から見た国内緩和対策(CAN Japan) <参考資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見直しに係るヒアリングを踏まえた質問について(各府省からの回答) <参考資料2>京都議定書目標達成計画の個別対策・施策の進捗状況 <参考資料3>「排出量及び取組の状況等に関する論点整理(案)」に対する意見募集の結果について
3.9 中央環境審議会地球環境部会(第55回) ・日時:平成19年5月30日(水) ・場所:ホテル ルポール麹町 マーブル ・議題:(1) 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律について (2)漂流・漂着ゴミ国内削減方策モデル調査について (3)地球温暖化問題を巡る最近の状況について ①総理の新提案(美しい星へのいざない「Invitation to 『Cool Earth 50』」 ~3つの提案、3つの原則~)について ②2005年度(平成17年度)の温室効果ガス排出量(確定値)について ③21世紀環境立国戦略の策定に向けた提言(中央環境審議会意見具申)について ④気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書第3作業部会報告書について (4)その他 ・配布資料: <資料1>海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律について <資料2>漂流・漂着ゴミ国内削減方策モデル調査について <資料3>総理の新提案(美しい星へのいざない <資料4>2005年度(平成17年度)の温室効果ガス排出量(確定値)について <参考5>21世紀環境立国戦略の策定に向けた提言(中央環境審議会意見具申) <参考6>気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書第3作業部会報告 書の概要 浅岡委員資料 飯田委員資料
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環境保護情報(2007年3/4月)
1.「VOC排出抑制・産業洗浄における自主的取組マニュアル」 「VOC排出抑制・産業洗浄における自主的取組マニュアル」がこのほど発表された1)。同マニュアルは、環境省が平成18年度事業として公募した「平成18年度揮発性有機化合物(VOC)排出抑制対策に係る自主的取組推進マニュアル(洗浄関係)の作成業務」に基づくものである。同公募事業は、㈱旭リサーチセンターが受託し、日本産業洗浄協議会が全面的に協力して完成した。 同マニュアルは、平成17年度に作成した「自主的取組推進マニュアル原案」2)を踏まえ、以下の事項について検討を実施しまとめたものである。 (1)産業洗浄分野において実用化されているVOC排出抑制事例の整理 (2)産業洗浄分野におけるVOC排出抑制対策の定量的把握実験 (3)産業洗浄分野でのVOC排出抑制対策に関わるコスト等のとりまとめ まとめに際しては、以下の内容を盛り込むよう工夫されている。 (1)VOCの使用状況等に関する基本的説明 (2)対策の必要性 (3)優良事例集 (4)適用可能な対策 (5)自主的取組促進のための方策 <参考文献> 1) 環境省・㈱旭リサーチセンター・日本産業洗浄協議会「VOC排出抑制・産業洗浄における自主的取組マニュアル」A4/29p (2007.3) 2)㈱旭リサーチセンター 「平成17年度揮発性有機化合物(VOC)排出抑制に係る自主的取組推進マニュアル原案作成(洗浄関係)委員会報告書」A4/151p (2006.3)
<写真> 同マニュアルの表紙1)
2.平成17年度PRTRデータの概要 経済産業省および環境省は共同で、2005年度(平成17年度)のPRTRデータの集計結果を2月23日に公表した1)。この公表は、1999年7月に交付された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化学物質排出把握管理促進法)に基づくものであり、2001年度より始まり今回は5回目である。 経済産業省と環境省は、集計結果をホームページ等で公表するとともに、平成17年度分の個別事業所データの開示請求の受付を開始した。 今回発表されたデータは、対象事業所からの届出を2006年4月1日~6月30日に受け付け、届出対象外の排出量については国が推計して、併せて集計した結果がまとまったものである。 今回、平成17年度の1年間に届け出た事業所数は、全国で40,823(40,331*))で、全国・全物質で集計した排出量は、が259 千トン(269 千トン*))、届出移動量は231 千トン(229 千トン*))、届出排出量と届出移動量の合計は490 千トン(498 千トン*))であった (注)*)印は、平成16年度のデータを示す(以降も同じ)。 平成17年度届出データに特徴としては、届出事業所数が増加した一方で届出排出量と届出移動量の合計は引き続き減少した。また、届出移動量は、前年と比べて微増であった。 また、国が推計を行った届出対象外の排出量(対象業種からの届出対象外の排出量、非対象業種からの排出量、家庭からの排出量、自動車などの移動体からの排出量)については、全国の合計で348千トン(357 千トン*))であった。 この集計結果の概要は、経済産業省及び環境省が共同で、冊子「平成16 年度PRTRデータの概要-化学物質の排出量・移動量の集計結果-」2)にまとめ、環境省は別途、(社)環境情報科学センター編集になる「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック」4)を発行している。 以下に、この“平成17 年度PRTRデータの概要 = 化学物質の排出量・移動量の集計結果 =”(以下、「集計結果」と略)を抜粋して紹介する。 2.1 届出の状況 2006年4月1日から6月30日までの間に、2005年度排出量等の届出を行った事業所総数(全国)は、40,823事業所であった。「集計結果」には、45種の業種別、および都道府県別にみた事業所数と届出物質種類数とが紹介されている。 2.2 全国の届出排出量・移動量の集計結果の概要 (1)全国の届出排出量・移動量の集計結果 全国の事業者から届出のあった総排出量・移動量は490千トン(500千トン*))であり、内訳は総排出量259千トン(270千トン*))、総移動量231千トン(230千トン*))である。 さらにその区分ごとの内訳と構成をみると図1のごとくである。 (2)届出対象外排出量 届出対象外(対象業種からの届出対象外、非対象業種、家庭、移動体)の排出量は国が推計を行っており、届出外排出量の合計は348千トンで、届出排出量と届出外排出量を合計した総排出量は607千トンであった(図2)。
<写真> 「PRTRデータを読み解くための市民 ガイドブック」4)
(3)届出排出量・移動量の上位10物質 届出排出量・移動量の上位10物質の合計は365千トン(369千トン*))で、総届出排出量・移動量に対して75%(74%*))に当たる(図3、表1)。 (4)届出排出量の上位10物質 届出排出量上位10物質の合計は、223千トン(230千トン*))で、総届出排出量比は86%(85%*))である(図4、表2)。 届出排出量上位10物質については、「集計結果」では、以下のように排出経路ごとの上位10物質が紹介されている。 ・大気への届出排出量上位10物質 ・公共用水域への届出排出量上位10物質 ・事業所内の土壌への届出排出量上位10物質 ・事業所内の埋立処分の届出排出量上位10物質 (5)全国の業種別の届出排出量・移動量 45業種の届出排出量・移動量の合計は、490千トン(500千トン*))で、製造業23業種の届出排出量・移動量の合計は、467千トン(475千トン)で全体の95%(95%*))に当たる。 また、排出量・移動量の多い上位10業種の合計は409千トン(410千トン*)*))で、総届出排出量・移動量の84%(82%*))に当たる(図5)。 2.3 届出排出量・移動量上位物質からみた対象業種 の特徴 届出排出量・移動量の合計上位5物質は、表1に示すとおり、トルエン、キシレン、塩化メチレン、マンガン及びその化合物、エチルベンゼンの順である。 これら5物質の業種に係る特徴が「集計結果」中に紹介されているが、ここでは、その中から塩化メチレンの説明を以下に紹介する。 ・塩化メチレン 塩化メチレンの届出排出量・移動量の合計は33千トン(31千トン*))(総届出排出量・移動量の6.7%(6.3%*))で、このうち届出排出量の合計は22千トン(22千トン*))(総届出排出量の8.6%(8.2%*)))を占め、そのほぼ100%(100%*))が大気への排出となっている(表3)。この大気への排出量は、全物質合計の大気への排出量の9.9%に相当する。一方、届出移動量の合計は11千トン(総届出移動量の4.7%)となっている。 塩化メチレンの届出排出量・移動量の上位10業種は、表3の通りである。その合計は30千トン(29千トン*))であり、塩化メチレンの届出排出量・移動量の合計の91%(91%*))に当たる。 これら上位10業種における届出排出量の届出排出量・移動量に対する比率は、化学工業が33%(35%*))であるのに対し、他の9業種では、金属製品製造業が87%(87%*))、プラスチック製品製造業が79%(81%*))、輸送用機械器具製造業が81%(83%*))、木材・木製品製造業が98%(98%*))、その他の製造業が86%(84%、*))、電気機械器具製造業が79%(87%*))、非鉄金属製造業が86%、一般機械器具製造業が83%(82%*))、鉄鋼業が87%(77%*))となっており割合が高くなっている。 2.4 業種別の届出排出量・移動量の集計結果 業種別の届出排出量・移動量の集計結果は、45の業種について、主な状況が説明されている。 ここでは、その中から“精密機械器具製造業”を紹介する(表4参照)。 ・精密機械器具製造業の届出排出量・移動量の主な状況 届出排出量・移動量の上位物質は、塩化メチレン(当該業種内比29%(31%*)))、トリクロロエチレン(同24%(21%*)))、トルエン(同8.9%(9.3%*)))、キシレン(同8.1%(6.8%*)))、エチレンオキシド(同4.9%(6.3%*)))、HCFC-225(同4.6%(4.6%*)))、HCFC-141b(同4.6%(5.0%*)))、の順であり、これら7物質の届出排出量・移動量の合計は2.0千トン(2.1千トン*))となり、この業種の届出排出量・移動量全体の84%(83%*))に当たり。排出量と移動量の比率は、排出量が72%(72%*))、移動量が28%(28%*))となっている。これら上位物質のうち、エチレンオキシドは全業種の届出排出量・移動量の34%(34%*)*))に当たる。 塩化メチレン、トリクロロエチレンは主に金属部品の洗浄に使用され、HCFC-225は金属への腐食性がなく樹脂などへの作用が少ないため医療用機械器具などの精密部品の洗浄に多く使用されている。特定第一種指定化学物質のエチレンオキシドは医療器材のガス減菌処理剤として使用されている。 2.5 都道府県別の届出排出量・移動量の集計結果 都道府県別の届出排出量・移動量の集計結果では、全体の状況が図6のように示され、以下のような整理の結果が紹介されている。 ・都道府県別の届出排出量・移動量 ・都道府県別の単位面積当たり届出排出量 ・排出量最大であるトルエンの都道府県別の届出 排出量 ・都道府県別の届出排出量上位5物質 届出排出量・移動量の上位10都道府県は、愛知県、静岡県、神奈川県、兵庫県、埼玉県、千葉県、茨城県、山口県、大阪府、岡山県であり、以下広島県、福島県、三重県、福岡県、愛媛県、栃木県、岐阜県、群馬県、滋賀県、秋田県、となっている。(昨年のトップ10は、愛知県、静岡県、埼玉県、広島県、神奈川県、茨城県、兵庫県、栃木県、千葉県、北海道の順)。 2.6 全国の届出外排出量の集計結果 本章では、以下の項目についての記述があり、その中のいくつかを紹介する。 ①届出外排出量の構成 ・対象業種からの届出外排出量 ・非対象業種からの届出外排出量 ・家庭からの届出外排出量 ・移動体からの届出外排出量 ②届出排出量と届出外排出量の合計 (1)届出外排出量の構成 全国の届出外排出量の合計は348千トン(357千トン*))であり内訳は以下の通りである(図4)。 ①対象業種からの届出外排出量:59千トン(62千トン*))、構成比17%(17%*))= 対象業種に属する事業を営む事業者の事業活動に伴って環境に排出されていると見込まれる量(届け出られたもの、移動体からのものを除く) ②非対象業種からの届出外排出量:111千トン (107千トン*))、構成比32%(30%*))= 対象業種以外の業種に属する事業のみを営む事業者の事業活動に伴って環境に排出されていると見込まれる量(移動体からのものを除く) ③家庭からの届出外排出量:55千トン(60千トン *))、構成比16%(17%*))= 家庭から環境に排出されていると見込まれる量(移動体からのものを除く) ④移動体からの届出外排出量:124千トン(128千トン*))、構成比36%(36%*))= 移動体から環境に排出されていると見込まれる量 (2)届出外排出量の上位10物質 届出外排出量の合計348千トン(357千トン*))のうち、上位10物質の合計は270千トン(276千トン*))で、77%(77%*))に当たる(図7)。 上位10物質は、 ①トルエン:79千トン(81千トン*))=溶剤・合成原料に用いられるほか、自動車などの排出ガス、接着剤・塗料などに含まれる ②キシレン:74千トン(74千トン*))=溶剤などに用いられる ③エチルベンゼン:19千トン(⑥19千トン*))=洗浄剤・化粧品などに用いられる ④ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル:19 千トン(18千トン*))=防虫剤・消臭剤に用いられる ⑤p-ジクロロベンゼン:17千トン(⑤17千トン*))=自動車などの排出ガスに含まれる ⑥ベンゼン:15千トン(15千トン*))=自動車などの排出ガスなどに含まれるほか、合成原料・消毒剤などに用いられる ⑦ホルムアルデヒド:14千トン(15千トン*))=洗浄剤などの界面活性剤に用いられる ⑧直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸及びその塩 :14千トン(14千トン*))=農薬に用いられる ⑨D-D:11千トン(8.5千トン*))=農薬に用いられる ⑩クロロピクリン:8.1千トン(7.5千トン*)) 2.7 届出排出量と届出外排出量の合計 (1)届出排出量と届出外排出量の合計の構成 届出排出量と届出外排出量の合計は607千トン(627千トン*))であり、このうち届出排出量は259千トン(270千トン*))(構成比43%(43%*)))、また届出外排出量は、対象業種59千トン(62千トン*))(構成比10%(9.96%*)))、非対象業種111千トン(107千トン*))(構成比18%(17%*)))、家庭55千トン(60千トン*))(構成比9.1%(9.6%*))、移動体124千トン(128千トン*))(構成比20%(20%*))を併せた348千トン(357千トン*))(構成比57%(57%)となっている。 (2)届出排出量と届出外排出量の合計の上位10物 質 届出排出量と届出外排出量の合計607千トン(627千トン*))のうち、上位10物質の合計は453千トン(466千トン*))で、75%(74%*))に当たる。その上位10物質は図8のごとくである。 2.8 PRTRの推移について PRTRのデータは、今年で5年間分の情報が集積されたので、以下の内容について、これまでのデータが整理されている3)。 ①PRTR届出状況の推移 ②業種別の届出排出量の推移 ・平成17年度排出量上位10業種 ・排出量が減少した業種 ・排出量が増加した業種 ③物質別の届出排出量の推移 ・平成17年度排出量上位10業種 ・排出量が減少した物質 ・排出量が増加した物質 ①物質毎の届出状況 ②特定第一種指定化学物質の届出排出量の推移 以下に、そのいくつかを紹介する。 (1)PRTR届出状況の推移 平成13年度から平成17年度までの5年間のPRTR制度に基づく届出に係る事業者数、事業所数及び物質数の推移は表5の通りである。 また、届出総排出量・移動量の推移は図9の通りである。 (2)平成17年度排出量上位10業種 製造業・非製造業を併せた全45業種において、平成17年度の届出排出量が多かった上位10業種は下記の通りで、それらの平成13年度からの排出量の推移が図示されている。その第1位を図10に示す。 ①輸送用機械器具製造業:52千トン(構成比20%) ②プラスチック製品製造業:32千トン(〃12%) ③化学工業:27千トン(〃10%) ④非鉄金属製造業:20千トン(〃7.6%) ⑤金属製品製造業:19千トン(〃7.3%) ⑥パルプ・紙・紙加工品製造業:14千トン(〃5.5%) ⑦出版・印刷・同関連産業:14千トン(〃5.5%) ⑧一般機械器具製造業:12千トン(〃4.6%) ⑨ゴム製品製造業:10千トン(〃4.0%) ⑩電気機械器具製造業:9.0千トン(〃3.5%) (3)排出量が減少した業種 平成13年度から平成17年度の届出排出量を比較して減少量が多かった上位3業種は、以下の通りである(数字は、H13量→H17量(比率H17/H13))(図11)。 ①化学工業:42→27千トン(比率0.63) ②出版・印刷・同関連産業:25→14千トン(〃0.55) ③パルプ・紙・紙加工品製造業:24→14千トン(〃0.60) (4)排出量が増加した業種 平成13年度から平成17年度の届出排出量を比較して増加量が多かった上位3業種は、以下の通りである(数字は、H13量→H17量(比率H17/H13))(図12)。 ①非鉄金属製造業:15→20千トン(比率1.31) ②一般機械器具製造業:9→12千トン(〃1.30) ③自動車整備業:0.1→0.7千トン(〃5.11) (5)平成17年度排出量上位10業種 平成17年度の届出排出量が多かった上位10物質の平成13年度からの届出排出量の推移が図示されている。その中から、上位4物質を図13に紹介する。 (6)排出量が減少した物質 平成13年度から平成17年度の届出排出量を比較して減少量が多かった上位3物質は、以下の通りである(数字は、H13量→H17量(比率H17/H13))(図11)。 ①トルエン:133→106千トン(比率0.80) ②キシレン:52→45千トン(〃0.86) ③塩化メチレン:27→22千トン(〃0.81) (7)排出量が増加した物質 平成13年度から平成17年度の届出排出量を比較して増加量が多かった上位3物質は、以下の通りである(数字は、H13量→H17量(比率H17/H13))(図15)。 ①エチルベンゼン:9→14千トン(比率1.63) ②マンガン及びその化合物:5→7千トン(〃1.48) ③アンチモン及びその化合物:0.01→1,1千トン(〃83) 2.9 その他 「集計結果」2)には、その他に、以下の項目のデータと集計結果が付されている。 ・業種別の届出事業所数・排出量・移動量 ・都道府県別の届出事業所数・排出量・移動量 ・都道府県別の届出排出量及び届出外排出量 ・全国の届出排出量・移動量 ・全国の業種別の届出排出量・移動量 ・都道府県別の届出排出量・移動量 ・全国の届出外排出量 ・全国の移動体からの届出外排出量 <参考資料> 1)経済産業省:「(報道発表)平成17年度PRTRデータの公表等について」(2007.2.23) 2) 経済産業省製造産業局化学物質管理課・環境省 環境保健部環境安全課:「平成17年度PRTR データの概要 = 化学物質の排出量・移動量の集 計結果 =」(2007.2) 3) 「平成17年度PRTRデータ及びPRTRデ ータの推移の概要について」(中央環境審議会環 境保健部会化学物質環境対策小委員会(第3回)、 産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第2回)合同会合(第2回)配布資料(2007.3.13) 4)(社)環境情報科学センター編集、環境省環境保健部環境安全課発行:「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック = 化学物質による環境リスクを減らすために/平成17年度集計結果から =」環境省(2007.3)
3.主要塩素系溶剤統計 当協議会の団体会員であるクロロカーボン衛生協会のご好意により、下記の主要塩素系溶剤の統計資料をご提供頂いた。その中から、「(2)生産・出荷・在庫・輸出入統計年報(1990年~2006年)」を表6に紹介する。 なお、これにテトラクロロエチレンおよび1,1,1-トリクロロエタンを加えた5種類の 塩素系溶剤の生産・出荷・在庫・輸出入統計年報(1986年~2004年3月)は本月報の2004年5-6月号に、また7種類の 塩素系溶剤についての56年間(1949年~2004年)にわたる生産量の統計は、本月報の2006年1-2月号に掲載されている。 (1)2006年生産・出荷・在庫・輸出入統計月報 (1月~12月) ・ トリクロロエチレン ・ 塩化メチル ・ 塩化メチレン (2)生産・出荷・在庫・輸出入統計年報 (1990年~2006年) ・ トリクロロエチレン ・ 塩化メチル ・ 塩化メチレン (3)2006年国別貿易統計(輸出入)月報 (1月~12月) ・ 1,1,1-トリクロロエタン ・ トリクロロエチレン ・ テトラクロロエチレン ・ 塩化メチレン ・ クロロホルム ・ 四塩化炭素 (3)国別貿易統計(輸出入、1995年~2006年) ・ 1,1,1-トリクロロエタン ・ トリクロロエチレン ・ テトラクロロエチレン ・ 塩化メチレン ・ クロロホルム ・ 四塩化炭素
4.審議会の開催状況 2007年2月および3月に開催された経済産業省および環境省の審議会の関連会合は以下の通りである。 (1)中央環境審議会 地球環境部会(第46回)、 産業構造審議会 環境部会 地球環境小委員会 合同会合(第9回)、 ・日時:2007年2月7日(水) ・場所:フロラシオン青山 ・議題:(1)京都議定書目標達成計画の評価・見直しについて(業務部門、家庭部門に関するヒアリング(第3回)) ○ 坂本 雄三 東京大学大学院工学系研究科教授 ○ 伊香賀俊治 社団法人日本建築学会(慶應義塾大学理工学部教授) ○ 鈴木 伸夫 社団法人住宅生産団体連合会環境委員会委員長 ○ 逢坂 達男 住友林業(株)住宅本部技術部開発グループグループマネージャー ○ 佐藤 信孝 社団法人建築設備技術者協会理事 ○ 中村 勉 社団法人日本建築家協会環境行動委員会委員長 ○ 善養寺幸子 社団法人日本建築家協会環境行動委員会委員 ・配布資料: <資料1>住宅・建築の温室効果ガス排出量の要因分析 <資料2>省エネルギー対策の概要 <資料3>坂本雄三 東京大学大学院工学系研究科教授 資料 <資料4>伊香賀俊治 社団法人日本建築学会(慶應義塾大学理工学部教授)資料 <資料5>鈴木伸夫 社団法人住宅生産団体連合会環境委員会委員長 逢坂達男 住友林業(株)住宅本部技術部開発グループグループマネージャー 資料 <資料6>佐藤信孝 社団法人建築設備技術者協会理事 資料 <資料7>中村 勉 社団法人日本建築家協会環境行動委員会委員長 善養寺幸子 社団法人日本建築家協会環境行動委員会委員 資料 <参考資料1>気候変動に関するパネル(IPCC)第4次報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について <参考資料2>気候の安定化に向けて直ちに行動を!-科学者からの国民への緊急メッセージ- (2)中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第2回)、産業構造審議会化学・バイ オ部会化学物質政策基本問題小委員会、化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第 1回)合同会合(第1回) ・日時:平成19年2月9日 ・場所:環境省 ・議題:(1)化学物質排出把握管理促進法の見直しについて ◎法施行の状況とその評価 ◎検討課題の整理 ・配布資料: <資料1>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会委員名簿 <資料2>産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ委員名簿 <資料3>産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループの設置について <資料4>合同会合の検討課題及び検討スケジュール(案) <資料5>第1回中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会議事録(案)(委員限り) <資料6>「今後の化学物質環境対策の在り方について」(諮問)に係る論点 ~中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会における意見の整理~ <資料7>産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会中間とりまとめ <資料8>化学物質排出把握管理促進法の概要及び運用状況について <資料9>化学物質排出把握管理促進法の状況及び今後の課題について(化学物質排出把握管理促進法に関する懇談会報告書)化学物質排出把握管理促進法に関する懇談会報告書について化学物質排出把握管理促進法に関する懇談会報告書 <資料10>海外におけるPRTR制度の概要 <参考資料1>特定化学物質の環境への排出量の握等及び管理の改善の促進に関する法律関係法令集(委員限り) <参考資料2>PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック~平成16年度集計結果から~ (3)中央環境審議会 地球環境部会(第47回)、産業構造審議会 環境部会 地球環境小委員会合同 会合(第10回)、国土交通省交通政策審議会交通体系分科会(第11回)環境部会 合同会議 ・日時:平成19年2月13日(水)13:00 ・場所:全電通労働会館 ・議題:(1)京都議定書目標達成計画の評価・見直しについて(運輸部門に関するヒアリング) ○ 大聖 泰弘 早稲田大学理工学部教授 ○ 大野 栄嗣 社団法人日本自動車工業会地球環境部会副部会長 ○ 北條 英 社団法人日本ロジスティクスシステム協会主任研究員 ○ 山口 雅史 キヤノン株式会社生産ロジスティクス本部環境物流推進課課長 ○ 生島 俊彦 株式会社三越グループ業務部物流担当ゼネラルマネジャー ・配布資料: <資料1>運輸部門における地球温暖化対策について <資料2>運輸部門のCO2削減対策と課題(1.(1)関係) <資料3>運輸部門(自動車)のCO2削減(1.(2)関係) <資料4>物流効率化に向けた現状と課題(1.(3)関係) <資料5>環境対応ロジスティクスへの取組(1.(4)関係) <資料6>企業における物流効率化の取組み(1.(5)関係) <資料7>各省における自主行動計画策定状況、フォローアップ状況等 <参考資料1>中上委員からの回答 <参考資料2-1>浅岡委員からの意見 <参考資料2-2>自主行動計画フォローアップに関する文書質問等に対する各業界からの回答 (4)中央環境審議会 地球環境部会(第48回) ・日時:平成19年2月20日(火) ・場所:東海大学校友会館 ・議題:(1)地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について ・配布資料 中央環境審議会地球環境部会委員名簿 中央環境審議会議事運営規則(委員限り) <資料1>地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影 響防止の在り方について-中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯 留に関する専門委員会 報告書 <参考資料1-1>地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について (諮問) <参考資料1-2>地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について (付議) <資料2>平成19年度京都議定書目標達成計画関係予算案について <資料3>平成19年度漂流・漂着ゴミ対策関連予算政府原案とりまとめ <資料4>第8回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)の結果について <資料5>第1回日本・モンゴル環境政策対話の結果について <資料6>IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)について <資料7>GLOBE ワシントン議員会議について (5)中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第3回)、産業構造審議会 化学・バ イオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討 ワーキンググループ(第2回) 合同会議 ・窓口:経済産業省製造産業局化学物質管理課 ・日時:平成19年3月13日(火) ・場所:環境省 ・議題:(1)平成17年度PRTRデータ及びPR TRデータの推移の概要について (2)PRTR制度の課題と今後の方向につ いて ・PRTRデータの活用策について ・PRTRデータの提供方法について ・地方公共団体の役割について (3)地方公共団体の役割について ・配布資料 <資料1>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会委員名簿 <資料2>産業構造審議会 化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ委員名簿 <資料3>第1回合同会合議事録案 <資料4>第1回合同会合における意見の整理 <資料5>第1回合同会合における指摘事項への回答 <資料6>平成17年度PRTRデータ及びPRTRデータの推移の概要について <資料7>PRTRデータの活用事例について <資料8>PRTRデータの提供方法について <資料9>PRTR制度における地方公共団体の役割について <参考資料1>平成17年度PRTRデータの概要-化学物質の排出量・移動量の集計結果- <参考資料2>産総研 Newsletter(予測モデル紹介) <参考資料3>「産業構造審議会化学物質政策基本問題小委員会中間取りまとめ」に対するパブリックコメントの結果について (6)中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員会(第10回) ・窓口:環境省環境管理局大気環境課 ・日時:平成19年3月19日(月) ・場所:三田共用会議所 ・議題:(1)揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリについて ・配付資料: <資料1>中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員名簿 <資料2>揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリについて・検討会報告(案) <資料3>揮発性有機化合物(VOC)シュミレーションに係わる検討状況について <資料4>揮発性有機化合物排出施設の届出状況について <資料5>揮発性有機化合物(VOC)対策功労者表彰について <資料6>自主的取組の促進に係わる事業の実施状況について <参考資料>揮発性有機化合物の排出抑制に係わ自主的取組のあり方について <その他>中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員会座席表 (7)第11回中央環境審議会大気環境部会有害大気汚染物質排出抑制専門委員会 ・窓口:環境省環境管理局大気環境課 ・日時:平成19年3月20日(火) ・場所:虎ノ門パストラル ・議題:(1)有害大気汚染物質の大気環境濃度及び大気中への輩出量の推移について (2)経年的に環境基準等を超過している地域(要監視地域)等における対策の状況について (3)PRTRデータに基づく推計高濃度地域のフォローアップについて (4)今後の優先取組物質対策について ・配付資料: <資料1>第10回中央環境審議会大気環境部会有害大気汚染物質排出抑制専門委員会議事録 <資料2>優先取組物質対策に関する対策状況のフォローアップについて(案) <資料3>有害大気汚染物質の大気環境濃度及び大気中への排出量の推移について <資料4-1>経年的に環境基準等を超過している地域(要監視地域)等の抽出について <資料4-2>経年的に環境基準等を超過している地域(要監視地域)等における対策の現況について <資料5-1>PRTRデータに基づく推計高濃度地域のフォローアップについて <資料5-2>PRTR支援システム(PRTR2004)推計高濃度地域と有害大気汚染物質モニタリング地点(別紙は委員・オブザーバー限定) <資料6>今後の優先取組物質対策について(案) <参考7>中央環境審議会大気環境部会有害大気汚染物質排出抑制専門委員会委員名簿 <参考資料1>自主管理計画に基づく有害大気汚染物質対策の評価等について <参考資料2>平成17年度地方公共団体等におる有害大気汚染物質モニタリング調査結果について <参考資料3>中央環境審議会「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第八次答申)」について(お知らせ) <参考資料4>水銀の排出インベントリと環境排出(貴田晶子、酒井伸一:廃棄物学会誌、 16(4),pp.191-203(2005)) (8)中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会(第12回) ・日時:平成19年3月23日(金) ・場所:環境省 ・議題:(1)平成17年度化学物質環境実態調査結果 (2)平成18年度化学物質環境実態調査の進捗状況 (3)平成19年度化学物質環境実態調査の実施方針 ・配付資料: <資料1>平成17年度化学物質環境実態調査結果(概要) <資料2>平成17年度初期環境調査結果報告(案) <資料3>平成17年度詳細環境調査結果報告(案) <資料4>平成17年度暴露量調査結果報告書(案) <資料5>平成17年度モニタリング調査結果報告書(案) <資料6>平成18年度化学物質環境実態調査の進捗状況 <資料7>平成19年度化学物質環境実態調査の施方針(案) <資料8>平成17年度PRTRデータの概要等について <参考資料>「平成17年度POPsモニタリング調査結果」について(お知らせ) (9)中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会合同会合(第13回) ・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室 ・日時:平成19年3月26日(月) ・場所:東京グリーンパレス ・議題:(1)京都議定書目標達成計画の評価・見直しについて(現行対策・施策の進捗状況の定量的点検) ○経済産業省ヒアリング(「新エネルギー対策の推進」に関して農林水産省及び環境省からもヒアリング) ○財務省ヒアリング ○金融庁ヒアリング ・配布資料: <資料1>京都議定書目標達成計画の個別対策・施策の進捗状況(経済産業関係) <資料2>京都議定書目標達成計画の個別対策・施策の進捗状況(経済産業以外) <資料3>経済産業省ヒアリング追加説明資料 <資料4>新エネルギー対策の推進(農林水産省) <資料5>新エネルギー対策の推進(環境省) <参考資料1>2006年度自主行動計画フォローアップ結果及び今後の課題等 <参考資料2>「2006年度自主行動計画フォローアップ結果及び今後の課題等(案)」に対するパブリックコメント募集結果
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環境保護情報(2007年1/2月)
1.平成18年度VOC排出抑制に係る自主行動計画の結果 経済産業省は、これまでに業界団体から提出のあったVOCの排出抑制に係る自主行動計画を、06年12月13日に発表した。 同日に開催された審議会ワーキンググループ「産業構造審議会環境部会産業と環境小委員会、化学・バイオ部会リスク管理小委員会、産業環境リスク対策合同ワーキンググループ(第5回)」で発表された資料を以下に紹介する。 1.1 経緯 平成16年の大気汚染防止法の改正により、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの原因物質の一つであるVOCについて、法規制と自主的取組とを適切に組合せ、効果的に排出抑制を図ることとされた。 当省では、VOC排出抑制に係る自主的取組に関する産業構造審議会産業環境リスク対策合同ワーキンググループの審議結果を踏まえ、関係の業界団体に対して、自主行動計画の作成等の取組を行うよう要請した。 1.2 業界団体等 これまでに、以下の30の業界団体から27件の自主行動計画の提出があった。取組に参加している事業者は9,341社であった。 社団法人日本ガス協会(2)、社団法人日本染色協会(83)、日本製紙連合会(25)、社団法人日本鉄鋼連盟(90)、電機・電子4団体(173)(社団法人電子情報技術産業協会、情報通信ネットワーク産業協会、社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会、社団法人日本電機工業会)、社団法人日本塗料工業会(77)、社団法人日本自動車部品工業会(147)、社団法人日本自動車工業会(14)、線材製品協会(17)、日本伸銅協会(7)、全国鍍金工業組合連合会(207)、社団法人日本電線工業会(127)、社団法人日本溶融亜鉛鍍金協会(87)、社団法人日本アルミニウム協会(13)、社団法人日本建材・住宅設備産業協会(39)、天然ガス鉱業会(7)、石油連盟(24)、社団法人日本化学工業協会(68)、社団法人日本印刷産業連合会(7,719)、ドラム缶工業会(11)、軽金属製品協会(4)、日本プラスチック工業連盟(78)、社団法人日本オフィス家具協会(59)、社団法人日本表面処理機材工業会(12)、社団法人日本自動車車体工業会(165)、日本接着剤工業会(85)、日本繊維染色連合会(1) ・注)( )内は、自主的取組参加事業者数。 ・注)下線は、今回、新たに提出のあった団体。 また、以下の6つの業界団体が、今後、自主行動計画の提出を予定している。 社団法人プレハブ建築協会、日本産業洗浄協議会、印刷インキ工業連合会、日本工業塗装協同組合連合会、日本ゴム工業会、社団法人産業環境管理協会 1.3 全国のVOC排出量 これまでに提出のあった自主行動計画を集計した結果、全国のVOC年間排出量の実績値及び目標値は、表1のとおりとなった。なお、平成16年度 の排出量については、当省で参考までに集計したもの(参考までに工業団体別の排出量推移を表2に示す)。 1.4 地域別のVOC排出量 これまでに提出のあった自主行動計画を集計した結果、地域別のVOC年間排出量の実績値は、表3のとおりとなった。 1.5 物質別のVOC排出量 これまでに提出のあった自主行動計画を集計した結果、物質別のVOC年間排出量の実績値は、表4のとおりとなった。
<表1>全国のVOC排出量 これまでに提出のあった自主行動計画を集計した結果、全国のVOC年間排出量の実績値及び目標値は、以下のとおりとなった。なお、平成16年度の排出量については、当省で参考までに集計したもの。
注1) 提出のあった27件の自主行動計画の数値を集計したもの。 注2) 平成16年度の年間排出量については、自主行動計画への記載を求めていなかったが、経済産業省で業界団体から聴取する等して参考として集計。業界団体で把握していない場合は、暫定的に平成12年度の排出量を用いて集計している。 注3) 平成20年度の年間排出量について、中間目標値を設定していない場合は、暫定的に平成17年度の排出量を用いて集計している。 注4) 年間排出量には、暫定値、速報値、推計値等が含まれている。
<表3>地域別のVOC排出量 これまでに提出のあった自主行動計画を集計した結果、地域別のVOC年間排出量の実績値は、以下のとおりとなった。
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<表4>物質別のVOC排出量 これまでに提出のあった自主行動計画を集計した結果、物質別のVOC年間排出量の実績値は、以下のとおりとなった。
注1)これまでに提出のあった27件の自主行動計画のうち、物質別のVOC排出量の記載があったものを集計したもの。 注2)ここでは、平成12年度に排出量の多かった上位10物質を掲載。 注3)%表示は、各年度における全国計(物質別データのあるもの)に対する比率。
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2.化学物質政策の今後のあるべき姿」に関する検討 経済産業省は、化学物質管理政策の今後のあるべき姿についての検討を2006年5月より開始した。この検討は、産業構造審議会・化学バイオ部会の下に「化学物質政策基本問題小委員会」を新設して行っていたが、同年12月22日の第9回会合において「中間とりまとめ(案)」を完成、パブリックコメントに付された(パブリックコメントの期間は、2006年12月28日に公示後2ヵ月間)。 この「中間とりまとめ」の作成にあたって、第1回会合で行われた討議では「化学物質を巡る動向」の分析を行っている。以下のその概要の一部を紹介する。 2.1 背景 経済産業省の今回の化学物質管理政策に関する検討は、以下のような背景から企画された(図1) わが国では、化学物質審査規制法が1973年に制定されたが、同法は、当時、新たに開発された化学物質の市場導入前の安全審査や有害物質の製造規制等を目的とした世界最初の化学物質規制法であった。 この法律は、米、EU等諸外国において同趣旨の規制法の整備が行われる契機となった。
その後、わが国においては、数回にわたる制度の見直しや新たな制度の制定等により、市場導入前の事前審査規制等の高度化や、化学物質排出把握管理促進法に基づく排出量・移動量等の自主管理の促進等が進められているが、化学物質を巡る近年の環境変化に鑑み、改めて、直面している様々な課題への対応のあり方について整理を行うことが必要となっている。 (2)化学物質を巡る環境変化 化学物質を巡る環境変化については、以下のような分析を行い、新しい検討の必要性の裏付けとしている。 ・政策領域の拡大 ①化学産業だけの問題からサプライチェーン全体へ(政策領域の横軸への拡大) ②ハザードベースの規制からリスクベースでの管理へ(政策領域の縦軸への深化) ③新規化学物質届出等の増大化(イノベーションの進展及び官民コスト増) ④新たな課題の出現(ナノ粒子等の科学技術の進歩への対応) ・国際動向への対応 ⑤化学品分類調和システム(GHS)への対応 ⑥欧州REACH、米国TSCA等国際動向への戦略的対応 ⑦持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)での合意への対応(化学物質による著しい悪影響を2020年までに対応化) (3) 検討すべき論点 小委員会設置にあたって、議論すべき論点を整理するために、共通の視点として重要な項目を以下のように定めた。 ①わが国において今後とも一層安全・安心を保証 し、同時に、化学物質に係るイノベーションを奨める合理的な規制体系を探し出すこと ②国際動向を考慮して戦略的な国際対応や市場環 境を整備すること ③新しい評価手法や化学物質関連情報を提供する 基盤を整備、強化すること ④利害関係者が多様であるので(企業、国民、NPO、 自治体、政府)、その間のリスクコミュニケーションを促進すること 以上の視点から整理された論点は、以下の5項目であった。 ①カバーすべき範囲等に関する論点 市場に出回る化学物質に対して、科学的なリスク評価を、更なる安全・安心を追求する観点から、社会的に妥当で公正なコスト負担を前提として行うためには、どのような法体系・社会システムを目指したらよいか。 ②必要な情報に関する論点 上記①に関連し、化学物質に関係するどのような安全性情報について、より積極的に把握する方策を検討したらよいか。 ③情報の把握および情報を活用したリスク評価体 制整備に関する論点 リスク評価をさらに進めるため、化学物質等に関するどのような情報(用途情報・暴露情報)について、より積極的に把握する方策を検討すべきか。また、事業者による自主的なリスク評価の実施等、わが国におけるリスク評価体制の高度化について検討すべきではないか。 ④情報伝達の仕組み構築に関する論点 化学物質管理の全ての基盤となる化学物質の有害性情報に関し、これを国際的に整合性がとれた形で分類し、伝達・表示する方策を検討すべきではないか。また、リスク評価結果・管理手法についても、サプライチェーン間で共有できる仕組の構築を検討すべきではないか。 ⑤事業者による自主的な管理と規制的対応のバラ ンスに関する論点 化学物質等の管理に関し、チェック&レビューによる自主管理を基本としつつも、自主管理を誤ると重大な被害を生むような化学物質等については、法令の枠組みの中で管理を進める等、バランスをとった方策を検討すべきではないか。 (4) 小委員会の設置 上記の討議のために、産業構造審議会・化学バイオ部会に、新しく「化学物質政策基本問題小委員会」が設置されることとなった。委員会メンバーは18名で、委員長は、中西準子氏(独立行政法人産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター長)である。第1回会合は2006年5月25日に行われ、第9回会合(2006年12月22日)において「中間とりまとめ」を完成し、委員会活動を終了した。 2.2 化学物質政策基本問題小委員会の検討経緯 化学物質政策基本問題小委員会は、回の会合で以下のテーマについて検討した。 (1)第1回:目的説明・概論(5/25) テーマは、「本審議会の趣旨説明と化学物質管理に関する既存体系・国際動向の概説、並びに将来を見据えた化学物質管理体系の再構築の必要性に関する議論」で、以下の事項を検討した。 ・化学物質管理の必要性 ・化学物質管理収集の方向性 ・わが国の化学物質管理関連政策の現状 ・各国の主要な化学物質管理政策の現状 ・主な国際動向 ・自主的取組による対応 ・自主管理の進展(PRTR) (2)第2回:安全性情報の整備等(6/26) テーマは、「リスク管理の前提となる幅広い安全性情報の取得・整備と情報取得に係る関係者の役割に関する議論」で、以下の事項を検討した。 ・既存物質の製造・輸入量、安全性情報等の収集 のあり方 ・QSAR(注)等新たな評価手法の活用のあり方 ・安全性情報を取り扱う人材の現状 ・技術開発等による対応の現状 注)QSAR:(Quantitative Structure-Activity Relationship、定量的構造活性相関) (3)第3回:リスク評価体制等(7/20) テーマは、「リスク評価に基づく管理の規制体系への導入拡大や事業者による自主的なリスク評価の実施等に関する議論」で、以下の事項を検討した。 ・規制体系へのリスク評価の導入のあり方 ・リスク評価に必要なデータ、モデル、排出シナリオ等の充実 ・PRTRデータに基づくリスク評価の活用 ・事業者によるリスク評価の促進 ・ナノ粒子等新たな課題への対応 ・技術開発等による対応の現状 (4)第4回:情報伝達の仕組み等(8/20) テーマは、「安全性情報やリスク評価結果のサプライチェーンへの伝達を促進する上での政策的課題に関する議論」で、以下の事項を検討した。 ・安全性評価結果、リスク評価結果の化学物質使用者への円滑な伝達方法 ・営業秘密保護等留意すべき事項 ・GHS(注)分類と表示への対応 ・情報伝達に係る指針 注)GHS:Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals、化学品の分類及び表示に関する世界調和システム (5)第5回:リスク管理等(9/27) テーマは、「安全性情報やリスク評価を基に関係者によるリスク管理を推進するための方策についての議論」で、以下の事項を検討した。 ・ リスク管理手法のあり方(TSCA等) ・ リスク管理関連法のカバレッジ ・ 自主的取組の推進(MSDSによる管理手法の伝達のあり方等) ・ 化審法と化管法の役割分担 (6)第6~7回:人材育成・基盤整備・リスクコミ ュニケーション・国際対応等(10/20,11/22) テーマは、「化学物質管理を進める上で、その前提となる人材育成、基礎となる情報基盤の整備、それらを最大限に活用したコミュニケーションの促進策等に関する議論」で、以下の事項を検討した。 <人材育成> ・高等教育における人材育成 ・企業内教育における人材育成 ・外部の専門家集団の育成 <知的基盤> ・安全性情報の公開と知的財産権保護 ・化学物質総合情報提供システム等の拡充 <リスクコミュニケーション> ・わが国のリスクコミュニケーションの現状 ・海外のリスクコミュニケーションの先進事例 <アジア・キャパシティビルディングの方向性> ・アジア各国の化学物質規制の現状 ・アジア・キャパシティビルディングの必要性 (7)第7~9回:化学物質管理の在るべき姿 (11/22,12/11,12/22) テーマは、「リスク管理の前提となる幅広い安全性情報の取得・整備と情報取得に係る関係者の役割に関する議論」で、以下の事項を検討した。 ・化学物質管理体系の論点整理 ・今後の化学物質政策の方向性のとりまとめ 2.3 化学物質を巡る動向 小委員会は、第1回会合において、「化学物質を巡る動向について」の整理を行った。本テーマについての討議に利用された資料では、問題点を以下の7項目に分類している。 ①化学物質管理の必要性 ②化学物質管理政策の方向性 ③わが国の化学物質関連政策の現状 ④各国の主要な化学物質管理政策の現状 ⑤化学物質管理政策を巡る主な国際動向 ⑥自主的取組(自主管理)による対応 ⑦化学物質管理政策体系 上記7項目のそれぞれについて、以下に参考となる情報を紹介する。 2.4 化学物質管理の必要性 化学物質は取り扱いを間違えると、人体や環境を脅かす有害な物質として作用することがある。 化学物質は、我々の暮らしや様々な製品で用いられ、生活に不可欠なものとなっている一方、製造工程のみならず、使用や廃棄などライフサイクルの各段階で様々な主体が取り扱うことから、適切な管理を行い、問題を未然に防ぐことが必要である。 2.5 化学物質管理政策の方向性 (1)WSSD実施計画における化学物質管理の方向 2002年のWSSDにおいて、“ライフサイクルを考慮に入れた化学物質と有害廃棄物の健全な管理のためのアジェンダ21(1992年採択)の約束を新たにするとともに、予防的取組方法に留意しつつ透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順とリスク管理手順を用いて、化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成する”という「ヨハネスブルグ実施計画」が採択された。 「ヨハネスブルグ実施計画」には7つの具体的な行動が含まれている。 地球サミット(1992年)で採択された「アジェンダ21」における化学物質管理の考え方が、WSSD(2002年)で具体的な実施計画となった訳でその関係が図3のように示されている。 (2)WSSD実施計画に基づく具体的な行動項目を巡る動向1(ロッテルダム条約、ストックホルム条約) 「ヨハネスブルグ実施計画」に含まれる7つの行動項目については、具体的な動きが進展している。 その一つのロッテルダム条約(注)は、有害化学物質貿易に関する事前通報同意を義務付けており、2004年2月に発効した。また、ストックホルム条約は、PCB、DDT等10種類の製造・使用・輸出入の禁止・制限や廃棄物等の適正管理を目指すもので、2004年5月に発効した(注)。 注):ロッテルダム条約:(PIC条約、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続きに関するロッテルダム条約、Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure for Certain Hazardous Chemicals and Pesticides in international Trade)1998年9月10日、ロッテルダムで採択、2004年2月24日に発効。 注)ストックホルム条約:(POPs条約、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、残留性有機汚染物質条約、Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants)2001年5月22日に、ストックホルムで採択、2004年5月17日に発効。 (3)WSSD実施計画に基づく具体的な行動項目を巡る動向2(国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ) 「ヨハネスブルグ実施計画」の7つの行動項目の一つが、「ハイレベル宣言」、「包括的方針戦略」、「世界行動計画」からなるSAICMであり、「リスク削減」、「知識と情報」、「ガバナンス」、「能力構築と技術協力」、「不法な国際取引と防止」が目的としてうたわれている。 SAICM(注)とは、化学物質による人や環境へのリスクを削減するために国際的に調和のとれた戦略的管理をしようとする発想から生まれた考え方である。 注)SAICM:(Strategic Approach on International Chemical Management、国際的化学物質管理に関する戦略的アプローチ) 2002年のWSSDにおいて、行動指針としてのSAICMを取りまとめることが決定され、以降、3回の準備会合や地域会合による内容調整を経て、2006年2月、ドバイで開催された化学物質管理に関する国際会議において採択された。 SAICMは、「ハイレベル宣言」、「包括的方針戦略」、「世界行動計画」からなるが、具体的内容を示しているのは「包括的方針戦略」である。 「包括的方針戦略」には、次の5つの目的がうたわれている。 ①リスク削減 ②知識と情報 ③ガバナンス ④能力構築と技術協力 ⑤不法な国際取引と防止 「知識と情報」以下の4項目は、「リスク削減」のための手段とも読みとれる。 (4)わが国の化学物質管理政策の系譜 わが国における汚染物質管理は、主として有害性の強い特定の物質の使用等を政府が規制することから始まった。 しかし、化学物質の利用が進む中で化学物質が持つ様々な性状が明らかになり、管理手法も高度かつ国際整合性のとれたものを目指してきた。 こうして、わが国の化学物質管理政策の主眼は、有害性の強さに基づく規制からリスクに基づく管理へと変化しつつある(図3)。 2.6 わが国の化学物質関連政策の現状 (1)第3次環境基本計画の概要 「第3次環境基本計画」が、2006年4月7日に閣議決定され、「化学物質の環境リスクの低減」は10ある重点分野の一つとして位置付けられ、科学的なリスク評価の推進、ライフサイクルにわたる環境リスクの低減や予防的な取組方法の観点に立った効果的、効率的なリスク管理を進めること等が盛り込まれた。 (2)主要な法的枠組みである化審法・化管法につい て 化学物質の市場導入段階は、主に化審法で管理され、化学物質の事業者による取扱・流通段階は、主にPRTR制度、MSDS制度を柱とする化管法(注)で管理されている。 注)化管法:特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、化学物質排出把握管理促進法) (3)化学物質管理政策対象業種(出荷額) 化学産業は、日本のGDPの20.2%(104.1兆円)を占める製造業において、機械製造業・食品製造業に継ぐ8.5%(8.8兆円)にシェアを占める。 ゴム、プラスチック、化学等の化学品全体でみれば、2003年の出荷額は36.3兆円に達し、その出荷構成は多岐にわたっている。 (4)化学物質管理政策対象業種(需要先) 化学物質の取扱事業者は、サプライチェーン上の数多くの産業分野に広がっており、他産業への投入財としての需要規模も約13.0兆円に達している。 化学産業からの産出物は、化学産業以外の分野でも幅広く投入財として活用されている。 (5)化学物質管理政策の対応状況 各国の違いはあるものの、わが国の担当行政組織は、おしなべて欧米に比べて小数の陣容となっている。 他方、化審法に基づく少量新規物質の申請件数は増大する傾向にある。 また、わが国では、米国と比べ、毒性学の基礎知識と研究の経験を持つ専門家が少なく、化学物質管理の遂行に必要な人材が十分とはいえない。 2.7 各国の主要な化学物質管理政策の現状 (1)新規化学物質届出制度の導入 新規化学物質の届出・審査制度としては、わが国の化審法は、世界で最初に制定された新規化学物質の届出制度である(1974年施行)。 欧米でも1970年代から1980年代にかけて、同様の制度が構築されてきた。 また、近年では、アジア地域でも、同様の新規化学物質届出制度が導入されてきており、現状、世界で同制度を制定しているのは、日本、米国、EU、カナダ、オーストラリア、韓国、中国、フィリピンの8ヵ国・地域となっている。 (以下の(2)~(5)は略) (2)新規化学物質の管理に関する各国比較 (3)既存化学物質の管理に関する各国比較 (4)各国のPRTR制度の概要 (5)MSDS制度を巡る動向 2.8 化学物質管理政策を巡る主な国際動向 (1)GHSを巡る動向 ①背景 化学品が世界的に流通している一方で、化学品の危険有害性情報の表示については国際的標準的な指針、規則が不在であった。 このような状況から、国際的に調和された分類・表示方法の必要性が高まり、2003年、国連経済社会理事会においてGHSの実施に関する決議が採択された。 ②目的 世界的に統一された分類・表示により化学品の危険有害性を分かりやすくする。 化学品による事故等の減少、化学品を購入する時に人の健康や環境に配慮した製品を選択できる等の効果が期待される。 ③内容 世界的に統一されたルールに従って化学品を危険有害性ごとに分類し、その情報を一目で分かるようなラベルの表示や安全データシートで提供する。 ④実施時期 GHSの実施は条約と異なり義務づけられたものではなく、各国の判断に委ねられる。 実施時期については、現状、世界的なGHSの完全実施目標は2008年に置かれている。また、APECでは各加盟国が自主的に可能な限り2006年末までにGHSの実施を進めることが合意されている。 (2)欧州REACHを巡る動向 REACHは、欧州の新たな化学物質規制案であり、2003年に最終規則案が公表されている。REACH提案の背景には、現行の規則体系では新規化学物質に関しては年間10kgといった少量から届出や試験が必要になるため、EU化学産業にとっては新規化学物質開発の障害になっている一方で、既存物質については十分な情報が公のものとなっていない等の問題があると指摘されている。 ①現行システムの問題点 ・ 上市されている物質の99%以上を占める既存化学物質には、新規物質のような試験の義務づけがない。 ・ 既存化学物質のリスク評価は当局の責任によるが、ほとんどリスク評価がなされていない。 ・ 現行の法令は、川下ユーザーの川上サプライヤーに対する情報の提供を義務付けていないため、物質の用途に関する情報を取得するのが難しい。 ・ 現行のシステムは、研究と革新を阻害し、EUの化学産業界が域外競争相手国から遅れをとる原因となる。 ②目的 ・ 人の健康及び環境の保護 ・ EU化学産業界の競争力の維持と強化 ・ 域内市場分裂の回避 ・ 化学品に関する情報のアクセスの改善や意志決定過程の透明性を拡大 ・ 国際的な取り組みとの統合 ・ 非動物実験の促進 ・ WTOの下でのEUの国際的責務との適合 ③内容 ・ 既存及び新規化学物質の危険有害性やそれらの用途について同等の知識を提供する単一で効率的かつ首尾一貫した規制の枠組みを提供すること ・ 既存物質については2012年までに段階的に適用する ・ 登録:企業は、扱う生産量が1tを超える全ての化学物質について、その性状、用途、安全管理に関する情報を提出する登録が求められる。 ・ 評価:加盟各国当局は、産業界から提出されたデータを評価し、物質ごとの試験プログラムを決定する。 ・ 認可:安全性に対して非常に高い懸念がある全ての物質は、特定の用途で使用される前に当局の認可が必要となる。 ・ 制限:社会経済的要素を十分考慮した上で、許容できないリスクを及ぼす物質の場合は、その製造、上市、使用について制限が課せられる。 (REACHに対する主要国、主要環境団体の反応については省略) (3)米国TSCAを巡る動向 アメリカでは1976年に制定されたTSCAに基づいて、上市前の新規化学物質審査と市場に流通する化学物質のリスク評価の双方を兼ね備えた体系的な管理が行われている。現在、2020年までの全化学物質の安全性決定、2010年までの安全基準を満たさない化学物質の使用禁止・制限を目的に、TSCAの改正が審議されている。 2.9 自主的取組(自主管理)による対応 (1)自主的取組(自主管理)の位置付け 環境省の「経済社会のグリーン化メカニズムの在り方」報告書によると、環境政策の手法は、その特徴や適用分野などに応じて、「直接規制的手法」「枠組規制的手法」「経済的手法」「自主的取組手法」に分類することができる。 このうち、自主的取組手法とは、事業者等が自らの行動に一定の努力目標を設けて対策を実施する自主的な環境保全のための取組と整理されており、一例として「公的自主計画」「自主協定」「片務的公約」に分類された例がある。化学物質管理分野における自主管理もこの手法の一つである。自主的取組においては、事業者の創意工夫が反映されやすい等、一般的に費用対効果の高い対策が指向されるという利点も指摘されている。 今日の環境問題は、従来型の公害問題とは異なり、問題の発生に極めて多くの者が関与していたり、発生のメカニズムが極めて複雑であったり、影響範囲が不分明であるなど、複雑な様相を呈している。したがって、政策の適用にあたっては、それぞれの政策課題の達成目標に応じ、複数の政策手法を適宜組み合わせつつ、関係者の合意の上で、対応が進められている。 (2)化学物質管理分野における自主的取組(自主管 理)の例 化学物質管理に関わる自主的取組(自主管理)は様々であるが、主な例としては、以下があげられる。 ①Japanチャレンジプログラム: 産業界と国が連携して、既存化学物質の安全性情報の収集を加速化し、化学物質の安全性について広く国民に情報発信するプログラム。行政がリストアップした約160の高生産量既存化学物質に対して、企業が自主的に安全性データを集めることが求められている。 ②VOC排出抑制 VOC(揮発性有機化合物)の規制対象となっているVOC排出施設以外の施設について、事業者の自主的取組によりVOCの排出抑制を図るもの。 ③リスクコミュニケーション 事業者が地域の行政や住民と情報を共有し、化学物質に起因するリスクに関するコミュニケーションを行うこと。 化学物質管理を効率的かつ効果的に実施するに当たっては、行政による直接規制的手法のみならず、これら事業者による自主的取組(自主管理)手法を組合せていくことが重要と考えられている。 (3)自主管理の進展(PRTR) 平成16年度PRTRデータは、届出排出量が270千トン(291千トン)、届出移動量が230千トン(235千トン)、総排出量・移動量が500千トン(526千トン)でいずれも前年度と比べて減少している(図4)(括弧内は平成15年度のデータ)。 平成13年度からのデータを比較すると、平成14年度から平成15年度にかけて届出排出量が微増しているが、これは届出対象となる対象化学物質の取扱量の要件が5トンから1トンに引き下げられたことにより届出事業所数が大幅に増えたことによるものである(34,497→41,075、約2割増)(図5)
1事業所当たりの平均届出排出量をみると、毎年着実に減少しており、特に届出要件に変更のない平成15年度から16年度にかけて減少していることから、事業者による化学物質の自主管理が進展していることが伺える(図6)。 環境省の「PRTR届出対象化学物質の排出量削減に関するアンケート調査」によると、排出量が削減した理由として、「削減対策の実施」との回答が40%近くを占めている。なお、「削減対策」の内訳としては、「管理・運用の改善」が最も多く、次いで「原材料転換」となっている。 2.10 化学物質管理政策体系 これまでに化学物質管理の諸問題を6テーマに分けて検討してきたが、その総合的なまとめとして、「化学物質管理政策体系」としたものが、図7のように紹介されている。 <参考文献> 1) 「産業構造審議会化学物質政策基本問題小委員 会について」(第1回小委員会・資料3) (2006.5.25) 2) 「化学物質を巡る動向について」(第1回小委 員会・資料5)(2006.5.25)
<図2>WSSD の位置付け経緯
<図3>化学物質管理政策の系譜
<図4>平成16 年度PRTR データ
<図5>PRTR 届出排出量・移動量の推移
<図6> 1事業所あたりのPRTR 届出排出量・移動量の推移
<図7>化学物質管理政策体系
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3.審議会の開催状況 2006年12月および2007年1月に開催された経済産業省および環境省の審議会の関連会合は以下の通りである。 (1)産業構造審議会 化学・バイオ部会第8回化学物質政策基本問題小委員会 ・窓口:経済産業省製造産業局化学物質管課 ・開催日:12月11日(月) ・場所:三田共用会議所 ・議題:(1)前回の議論を踏まえた論点整理 (2)化学物質政策基本問題小委員会中間取りまとめ(案)について ・配布資料: <資料1>議事次第 <資料2>委員名簿 <資料3>第7回議事録案(概要及び詳細版) <資料4>今後の検討事項・議論の進め方について <資料5>これまでの議論の整理(論点別の整理) <資料6>委員からの提出資料 <資料7>化学物質政策基本問題小委員会中間取り まと(案)について 【別冊】審議資料集 (2)産業構造審議会環境部会産業と環境小委員会、 化学・バイオ部会リスク管理小委員会、産業環境リスク対策合同ワーキンググループ(第5回) ・開催日: 12月13日(月) ・場所: 経済産業省本館 ・議題: (1)VOC排出抑制に係る自主行動計画について (2)VOC排出抑制の促進に関する取組について (3)有害大気汚染物質に関する自主管理のフォローアップについて (4)その他 ・配布資料: <資料1>産業環境リスク対策合同ワーキンググループ委員名簿 <資料2>産業環境リスク対策合同ワーキンググループ第4回議事録 <資料3>平成18年度VOC排出抑制に係る自主行動計画の概要について <資料4>平成18年度VOC排出抑制に係る自主行動計画の概要資料編 <資料5>VOC排出削減に係る自主的取組の促進のための諸施策 <資料6>(社)日本印刷産業連合会におけるVOC排出削減に向けた取組 <資料7>有害大気汚染物質に関する自主管理のフォローアップについて <資料8>PRTRデータによるフォローアップについて <資料9>有害大気汚染物質モニタリングデータとの比較について <資料10>今後の有害大気汚染物質に関する自主管理のあり方(案) <参考資料>平成18年度VOC排出抑制に係る自主行動計画 (3)産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第2回) ・窓口:環境省総合環境政策局環境経済課/地球環境局地球温暖化対策課 ・開催日12月13日(月) ・場所:全電通労働会館 ・議題:(1)京都議定書目標達成計画の評価・見直しについて(業務部門、家庭部門に関するヒアリング(第1回)) ・住環境計画研究所 ・(社)日本ビルエネルギー総合管理技術協会 ・㈱山武ビルシステムカンパニー ・配布資料: <資料1>民生分野におけるエネルギー需給の動向と展望(1.(1)関連) <資料2>エネルギー消費実態と省エネポテンシャル(業務用ビル)(1.(2)関連) <資料3>業務用ビルにおける省エネルギーの現状と普及・促進(1.(3)関連) <資料4>気候変動枠組条約第12回締結国会議(COP12)及び京都議定書第2回締約国会合(COP/MOP2) <資料5>次回以降の会議日程について (4)HFC等3ガス連絡会(平成18年度第2回) ・窓口:経済産業省オゾン層保護等推進室 ・開催日:12月14日(火) ・場所:経済産業省 ・議題:(1)京都議定書目標達成計画の評価・見直しについて ・産構審環境部会中環審地球環境部会・合同会議の審議状況 ・化学バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会の開催について (2)その他 ・配布資料: <資料1>出席者リスト <資料2>産構審環境部会中環審地球環境部会・合同会議第1回資料(抄) <資料3>産構審環境部会中環審地球環境部会・合同会議第2回資料(抄) <資料4>産構審環境部会中環審地球環境部会・合同会議委員名簿 <資料5>産構審環境部会中環審地球環境部会・合同会議(第1回・第2回)議事録概要 <資料6>化学バイオ部会地球温暖化防止対策小委の開催について <資料7>京都議定書目標達成計画の見直しに向けた今後のスケジュール (5)中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会第3回合同会合、 産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会第6回資源エネルギーワーキンググループ、合同会議 ・窓口: 経済産業省産業技術環境局環境経済室 ・開催日: 12月18日(月) ・場所: 三田共用会議所 ・議題: (1)資源エネルギー業界の地球温暖化対策の取組についてのヒアリング ○電気事業連合会 ○石油連盟 ○日本ガス協会 ○日本鉱業協会 ○石灰石鉱業協会 ○石油鉱業連盟 (2)その他 ・配布資料: <資料1>自主行動計画フォローアップについて <資料2>電気事業連合資料 <資料3>石油連盟資料 <資料4>日本ガス協会資料 <資料5>日本鉱業協会資料 <資料6>石灰石鉱業協会資料 <資料7>石油鉱業連盟資料 <参考資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見直しに係る検討の進め方について <参考資料2>我が国の温室効果ガス排出量の要因分析 <参考資料3>2005年度自主行動計画フォローアップ結果 <参考資料4>環境自主行動計画のフォローアップについて 中央環境審議会地球環境 部会長とりまとめ (6)地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第4回)、 産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会 電子・電機・産業機械等ワーキンググループ(第6回)合同会議 ・日時:12月21日(木) ・場所:虎ノ門パストラル 葵の間 ・議題:(1)電子・電気・産業機械等業界の地球温暖化対策の取組についてのヒアリング ○電気・電子4団体 ○日本産業機械工業会 ○日本工作機械工業会 ○日本ベアリング工業会 ○日本建設機械会 (2)その他 ・配布資料: <資料1>自主行動計画フォローアップについて <資料2>電気・電子4団体資料 <資料3>日本産業機械工業会資料 <資料4>日本工作機械工業会資料 <資料5>日本ベアリング工業会資料 <資料6>日本建設機械会資料 <資料7>第5回以降の会議日程案 <資料8>委員からの御質問への事務局からの回答 <参考資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見通しに係る検討の進め方 について <参考資料2>我が国の温室効果ガス排出量の要因分析 <参考資料3>2005年度 自主行動計画フォローアップ結果 <参考資料4>環境自主行動計画のフォローアップについて 中央環境審議会 地球環境部会長とりまとめ (7)産業構造審議会 化学・バイオ部会第9回化学物質政策基本問題小委員会 ・窓口:経済産業省製造産業局化学物質管理課 ・ 開催日:12月22日(金) ・場所:経済産業省 ・議題:(1)化学物質政策基本問題小委員会中間取りまと(案)について (2)その他 ・配布資料: <資料1>議事次第 <資料2>委員名簿 <資料3>第8回議事録案(概要及び詳細版) <資料4>これまでの検討経緯 <資料5>これまでの議論の整理(論点別の整理) <資料6>委員からの提出資料 <資料7>化学物質政策基本問題小委員会中間取りまとめ(案) <資料8>今後の対応について <別冊>審議資料集 (8)第1回 中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会 ・窓口: 環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課 ・開催日:12月26日(火) ・場所: 三田共用会議所 ・議題:(1)今後の化学物質環境対策の在り方について (2)その他 ・配布資料 <資料1>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会委員名簿 <資料2>今後の化学物質環境対策の在り方について(諮問) <資料3-1>中央環境審議会環境保健部会の小委員会、専門委員会の設置について <資料3-2>中央環境審議会環境保健部会の小委員会及び専門委員会の運営方針について <資料3-3>中央環境審議会議事運営規則 <資料4-1>第三次環境基本計画「化学物質の環境リスクの低減に向けた取組」概要 <資料4-2>第三次環境基本計画(抜粋) <資料5-1>化学物質排出把握管理促進法の概要及び運用実績 <資料5-2>化学物質審査規制法の概要及び運用実績 <資料6>化学物質環境対策に係る国際動向 <資料7>委員提出資料 <資料8>検討のスケジュール案 (9)地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部 会合同会合(第5回)、 産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会流通ワー キンググループ(第6回)合同会議 ・日時:12月26日(火) ・場所:三田共用会議所1階講堂 ・議題:(1)京都議定書目標達成計画の評価・見通しについて(業務部門、家庭部門に関 するヒアリング(第2回) 「家電機器の省エネ対策の現状」 ○片岡啓治 社団法人日本電気工業会 代表 ○菅野伸和 電機・電子5団体温暖化対策連絡会 代表 ○早野敏美 社団法人日本電気工業会 専務理事 ○金子和夫 社団法人電子情報技術産業協会 専務理事 ○浦田信一 電機・電子5団体温暖化対策連絡会 議表 「流通業におけるESCO事業」 ○筒見憲三 株式会社ファーストエコス 社長 (2)流通業界の地球温暖化対策の取組についてのヒアリング ○日本チェーンストア協会 ○日本フランチャイズチェーン協会 ○日本百貨店協会 ○日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会 ○日本チェーンドラックストア協会 (3)その他
・配布資料: <資料1>電機・電子温暖化対策連絡会資料 「民生家庭部門における地球温暖化防止」 <資料2>日本ファーストエコス資料 「流通業(食品スーパーマーケット)におけるESCO事業の現状と課題」 <資料3>自主行動計画フォローアップについて <資料4>日本チェーンストア協会資料 <資料5>日本フランチャイズチェーン協会資料 <資料6>日本百貨店協会資料 <資料7>日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会資料 <資料8>日本チェーンドラックストア協会資料 <参考資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見通しに係る検討の進め方に ついて <参考資料2>我が国の温室効果ガス排出量の要因分析 <参考資料3>2005年度 自主行動計画フォローアップ結果 <参考資料4>環境自主行動計画のフォローアップについて 中央環境審議会 地球環境部会長とりまとめ <参考資料5>英国での民生業務部門に対する新たな対策の動き] (山口委員提出資料) (10)産業構造審議会 化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会(第14回) ・窓口:経済産業省製造産業局化学物質管理課オゾン層保護等推進室 ・日時:1月17日(水) ・場所:経済産業省本館17階国際会議室 ・議題:(1)京都議定書目標達成計画に基づく取組みの評価等について ①京都議定書目標達成計画の評価・見通しについて ②代替フロン等3ガス分野の取組みの評価について (2)その他 ・配布資料: <資料1>化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会における当面の検討について <資料2>2005年総括フォローアップを踏まえた代替フロン等3ガス分野の現状 <資料3>代替フロン等3ガス分野の推定排出量の推移(1995年~2005年)と2010年目標値 <資料4>京都議定書目標達成計画における代替フロン等3ガスに関する対策・施策と推定排出量 <参考資料1-1>京都議定書目標達成計画の評価・見通しに係る検討の進め方について <参考資料1-2>第5回以降の会議日程案 <参考資料1-3>我が国の温室効果ガス排出量の要因分析 <参考資料2>第13回総括フォローアップ <参考資料3-1>社団法人電子情報技術産業協会 <参考資料3-2>日本マグネシュウム協会 <参考資料3-3>社団法人日本冷凍空調工業会 <参考資料4-1>改正フロン回収・破壊法リーフレット <参考資料4-2>地域地球温暖化防止支援事業費補助金の概要 <参考資料4-3>革新的ノンフロン系断熱材技術開発プロジェクトの概要 (11)中央環境審議会 地球環境部会(第43回) 産業構造審議会 環境部会 第37回地球環境小委員会 合同部会(第6回) 産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会 第6回製紙・板硝子・セメント等ワーキンググループ、鉄鋼ワーキンググループ 合同会議 ・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室 ・開催日:1月19日(金) ・場所:東京グリーンパレス ・議題:(1)製紙・板硝子・セメント等業界及び鉄鋼界の地球温暖化対策の取組についての ヒアリング ○日本製紙連合会 ○セメント協会 ○板硝子協会 ○日本衛生設備機器工業会 ○日本染色協会 ○日本ガラスびん協会 ○日本鉄鋼連盟 (2)その他 ・配布資料: <資料1>自主行動計画フォローアップについて <資料2>日本製紙連合会資料 <資料3>セメント協会資料 <資料4>板硝子協会資料 <資料5>日本衛生設備機器工業会資料 <資料6>日本染色協会資料 <資料7>日本ガラスびん協会資料 <資料8>日本鉄鋼連盟資料 <資料9>産業構造審議会環境部会地球環境小委員 ・中央環境審議会地球環境部会合同会合日程案 <参考資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見通しに係る検討の進め方について <参考資料2>我が国の温室効果ガス排出量の要因分析 <参考資料3>2005年度 自主行動計画フォローアップ結果 <参考資料4>環境自主行動計画のフォローアップについて 中央環境審議会地球環境部 会長とりまとめ <参考資料5-1>資源エネルギー関連業界に対する質問 <参考資料5-2>電気事業連合会からの回答 <参考資料5-3>石油連盟からの回答 <参考資料5-4>日本ガス協会からの回答 <参考資料5-5>石油鉱業連盟からの回答 <参考資料6>浅岡委員からの意見 <参考資料7>森口委員からの意見 <参考資料8>飯田委員からの要請 (12)地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部 会合同会合(第7回)、 産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主 行動計画フォローアップ合同小委員会 化学・非鉄金属等ワーキンググループ(第6回)合同会議 ・日時:1月29日(月) ・場所:霞ヶ関ビル東海大学交友会館阿蘇・朝日・東海の間 ・配布資料:<2007.2.16現在掲載無し> (13)地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第8回)、 産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会、 自動 車・自動車部品・自動車車体等ワーキンググループ(第6回)合同会議 ・ 日時:1月31日(水) ・ 場所:東京グリーンパレス「ふじの間」 ・ 配布資料:<2007.2.16現在掲載無し> |